4.【聖騎士】
9/24 タイトルの付け方を統一
「何してたんだよ、予定より遅れてきたけど。」
「母上が離してくれなくて……。」
「あー……でも分かってくれたんだろ?」
「そりゃそうさ。 そうでもなきゃ来れないのは解ってるだろ?」
革鎧を着込んだ、革製の盾と安い鉄製の長剣を背負った少年。
金髪のイケメン、というのが多分一番此奴を表すのに適当な言葉だと思う。
セレス=アークロウズ。 《アークロウズ騎士爵》家の4男だ。
名ばかり貴族、と言うに相応しいくらいには普段の生活も格好も俺と同じくらい。
だが、それでも立派な青い血を引いている……にも関わらず、俺みたいな平民と仲がいい理由。
それは亡くなった祖父が、セレスの祖母の兄だったからというのもある。
要するに此奴は再従兄弟なのだ。 青い血か、そうでないかという差だけで。
「で、目指してたアレはどうなった?」
「ふふん、聞いて驚け。 遂にLv1だが取得したよ!」
「おー! やったなおい!」
自慢げに見せてくるそのステータスを有難く見せてもらう。
本来は当人しか見られないステータスだが、当人のきちんとした同意があれば他人が見ることも可能なのだ。
(この辺りは精神異常などを受けているか、で判断されるらしい。 便利なもんだ)
【名前】セレス=アークロウズ
【性別】男
【年齢】10
《能力》
【STR】13
【DEX】10
【SPD】9
【CON】12
【POW】7
【LUC】10 (+1)
《スキル》
【剣術:Lv1】
【聖騎士:Lv1】
……明らかに前衛向けだよなぁ。
ゲームだったら【守護者】とか【不屈の意志】とか取らせて大盾か中盾で防壁になれるタイプ。
その中で一番気になるのは【聖騎士】スキルだ。
効果は前衛系スキルと治癒・医療系スキルの効果上昇の常駐スキル。
主人公としての取得条件は【前衛系】スキルと【治療系】スキルを中級レベル以上で保持し、教会のクエストをクリアする……だったはず。
にも関わらず持っているということは、何かしらの才能があるということになる。
まあ、今は宝の持ち腐れに近いんだが。
「俺も武器系スキル取りたいんだけどなぁ。」
「そりゃ分かるけど。 今取ると先が厳しいのはヴァリスが一番理解してるよね?」
「だーけーどー。」
そんなスキルを見せられれば俺だって欲しくなる。
そもそも、スキルとは何ぞや、といえば。
言ってしまえば他のゲームの【Lv】に近いものだろう。
これを上げればそれに対応した攻撃や行える技術が目に見えて増加するし、【武器系】なら技、【魔法系】なら魔法が身に付いていく。
直接教わればLvを飛ばして取得も出来るから、その辺りは状況と相談できるのも自由性の一つだと思う。
取得しにくい、というものはあるが取得できない、というものは(一部を除いて)無いというのも大きな特徴だ。
だが、万能にも思えるスキルにも欠点はある。
大きく分類分けされた【武器系技能】【魔法技能】に関しては、最初に取ると二つ目、三つ目の取得難度が増加するという欠点があるのだ。
故に、今俺が【剣術】系スキルを取ってしまえば欲しいスキルは更に遠のくわけで。
いつかは取りたいところだが。 派生させて欲しい技があるし。
「じゃ、行くか?」
「そうだね、僕がいつも通り前で。」
「じゃあいつもどおり俺が後ろな。」
「後ろは任せたよ?」
「前は任せたかんな。」
この日の成果は獣数匹と亜人族のコボルト一匹。
まあ無傷にしては良い成果だったと思う。
何しろ、獣は食事に出来るし。
コボルトは、直接的な小遣いに出来るのだから。