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デンファレ

ーー おかあさん かなしそうな かおしてる


ーー 亜依が居るから悲しく無いよ?ほら、亜依見て


ーー わあ きれいな おはな!いいにおい!これなに?


ーー これはね……




懐かしい。あれ、何だっけこの香り……。



ー バシッ!!! ー

亜「……痛!!!!」


突然頭を叩かれた。

見上げた先で笑いをこらえる女の子。


亜「結構痛かったよ?日向ちゃん??」


日「だってHR終わったのに寝てるんだもん!!

面白くってさ〜」


彼女は、田部日向(タナベ ヒナタ)

私、柿本亜依(カキモト アイ)の幼稚園からの幼馴染。

同じ高校に通うため一緒に勉強し、見事合格した。


日「ようやくJKじゃん!大人になった感じする!」


新しい制服を身に纏い、窓から入ってくる春風で

日向の綺麗な髪の毛とスカートが揺れる。


亜「桜が咲いたらお花見行こうか」

?「俺も行く」

日「あ!一暉!」

亜「……あんたは来なくていいから」

一「かたいこと言うなって」


ケタケタ笑うこの男は 藤沢一暉(フジサワ イツキ)

女癖が悪く、女に甘い。


日「何してたの。早く帰ろうよー」

一「おー。亜依、また明日」

亜「また明日」


中学2年生の時、日向が一暉に告白して付き合い始めた2人。

告白の返事をドキドキしながら一緒に待った。

OKされた日向は嬉しそうで、

そんな日向の前で、私は上手に笑えなかった。


私は一暉が好きだった。


2回告白して2回とも振られた。

男友だちの中で1番仲が良くて、気を許せた人。


どれだけ時が経っても、

一暉を忘れられない自分が居た。


忘れようと思ったのに、

この春入学した高校で同じクラス。

肝心の日向は別のクラスになってしまった。


大嫌いになるくらい、

酷い言葉で振ってくれたら良かったのに。


お似合いな2人の背中。

遠ざかって行く2人の背中を見ているだけの


私。



◇◆◇



普段と何も変わらない。何も。


一「…おはよ」

亜「…おはよ」


少しだけ視線が合って、小さな挨拶をする。

視線がぶつかる度にふざけていたあの頃が

少しだけ懐かしくなる。


一「今日からアイツと弁当食べてやって」


亜「まーた喧嘩かー。あんたが優しさ振りまくからでしょ」


一暉と日向はよく喧嘩する。

それに毎度巻き込まれていい迷惑だ。


亜「すぐ仲直りするくせにー」


嫌味を込めた私の言葉に、苦笑いする一暉の顔。

…悩んでいる顔。


一「高校くらい、自由にしたいじゃん?」


いつもヘラヘラして、悩みなんて無いような態度を取る一暉。


亜「溜め込んで爆発されても困るよ」


相談に乗ると言っても、相談されたことは

一度も無い。


一「そうなったらよろしくな!」


そうなこと言っても結局自分で解決するくせに。



?「藤沢くんってどこ中出身??」

?「部活何するのー??」

?「彼女居る??」


入学してから、何故か一暉はいつもハーレム。

バカだけど運動神経良くて、気がきくし優しい。

モテ要素があるにはあるけど。


一「質問は1人ずつじゃないと分かんねーよ」


完全に鼻の下伸ばしてるし。

日向が見たらまた喧嘩勃発するやつ。




日「……てんの」


……!!


亜「ひな…た。弁当日向のクラスで食べよ!!」


小さく発せられた日向の言葉を

聞き直すこともせずに、日向の手を引いて

教室を後にした。


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