2.ぬいぐるみがしゃべった?!
こんにちは!
この作品は全五話で終わらせようと思っているので、宜しくお願いします!
前回、僕はたまにいじってくる大輝の相談を受けることになった。
〔屋上〕
「なに?」
「あ、あのさ...。」
「うん。」
「お、おれ、七子のことが好きなんだ。」
「えっ!それ僕にわざわざ言うこと?」
「は、はぁっ?!」
「あ、ごめん。なんか気にさわった?」
「当たり前だろ!」
「あ、そう。」
「でさぁ、お前、いつも七子と話してんじゃん?」
「うん。だからって、僕に何をしようと?!」
「なんもしねぇよ。お前には。」
「ほんと?!」
「おうっ!ってそんなことじゃなくてさ!その...。お前にさ、頼みてぇことがあって...。」
「なにっ?」
「えっと、七子を今度の日曜日に構成公園に呼び出して欲しいんだ。」
「よ、呼び出し?」
「じゃ、そういうことで!」
大輝はそう言って教室へと走り去った。
〔帰宅〕
「ただいま。」
僕はそう言ったけど家には誰もいなかった。
「はぁ、またか。また仕事か。」
僕が自分の部屋に戻ろうとするとリビングの机に紙があった。
「ん?母さんからかな。なんだって~?」
そこにはこう書いてあった。
『尚へ
おかえり。冷蔵庫の中にウィンナーとタコスが入ってるから夜ごはんにでも食べてね。あと、クマスケ、外に干してあるから( `・∀・´)ノヨロシク!!』
「ははっ。絵文字...ww」
(クマスケ...そとか。)
僕は部屋に戻ってランドセルを置き、リビングの窓を開けた。
そこには、クマスケの姿がなかった。
「クマスケ...!!」
クマスケどこー!!どこだよっ。
気が付けば、僕の目からは涙がこぼれていた。
「クマスケーーーーー!!」
その日、僕は静かにテレビもついていないキッチンの電気だけでウィンナーを食べた。
「んー。うまい。」
ポロッ、ポロッ。
涙が止まらない。なんで?何でもないのに、ただクマスケがいなくなっただけなのに。なんで、なんで涙が止まらないんだろう。
その日、僕は一日中涙が止まらなかった。
なんでこんなに涙が...。なんで...。
「泣かないで。」
何っ?
今のどこから聞こえてきたの?
「だ、誰だ..?」
「ここだよー!」
「えっ?」
「だから、こっちー!」
ぐぃっ
「えっ。」
僕を引っ張っていた手はモフモフしていた。
「尚?」
「う、うわぁーー!」
ぬいぐるみが、しゃ、しゃべってる!!
「なんで...なんで、尚。なんで、怖い?俺のこと。」
「怖いっていうか...お前、クマのぬいぐるみだろ?」
「うん。なんかね、しゃべれるようになったの。」
「あ、そう...。で..そのなんでそこにいるの?」
「あ...それはね。」
〔3時間前〕
「ん...?ここは?」
どこ?ここは...。リビングが見える。
「ママっ?」
リビングでママが衣装直しをしている。あ、そろそろ家を出るころかな。
「ママ?ってことは...!」
(上には尚の部屋がある!!)
「ママ...。年取ったなぁ。老けた..」
ガチャン
「ママ行っちゃった。って耳、痛っ!!」
俺の耳は洗濯ばさみで挟まれていた。
ポンポンッ。
「とれた。」
クマスケはうまく洗濯ばさみから耳を救出した。
早速、俺は家の中へと入ろうとした。
「どうしよう。鍵…。」
その時、窓の端が少し開いているのに気がついた。
「開いてる?!」
俺はそっと中に入った。入ったとたん、鍵を閉めた。
鍵の位置は、手が届くくらいのところにあったよ♪
「さてさて...。ここも変わったもんだな。」
俺はひとまず家の中を探検した。
探検しているうちにある部屋を見つけた。
「ここ、尚の部屋。」
(こう見ると、ドアって大きいなぁ。)
「どーしよう。ドアノブがあんな高いところに...。」
俺から見るとドアノブは、はるか遠い場所にある。
「どーしよう。」
俺は考えた。どうしたらあのドアノブに手が届くのか。
それは...登る!!
「うーん。俺には爪がないし...。」
とりあえず、周りを見渡した。ん?あれは何?
見渡して見つけたものは、壁に張ってあった紙だった。
しかも運良いことに俺の手の届くところに貼ってあった。
しかも、またまたいいことにその紙は二つのピンでとめられていた。
「うーん!とれろー!」
俺はこのピンで壁を登ってドアノブまで行こうとしたけど、そううまくいかない話だった。
「抜けない―!」
なかなか抜けない。
「うんっ!」
勢い余って抜けたわいいが、どーしよう。
「よしっ!本気出すぞー!」
僕は頑張ってピンを使ってドアノブまで行った。
「よいしょ、よいしょ!」
それからしばらく頑張ってやっと、やっとドアノブまで来た。
あとはドアノブを回すだけ。
くるくるっ
ポン!!
「開いた!!」
するとドアはウィーンと音を立てながら開いた。
「よいしょ。」
俺はタイミングを計って中に入った。
ガチャンっ!
その時、ドアの開く音がした。
「誰か帰ってきた。」
まさか、それが尚だったとは。
「ん~、眠い。」
俺は頑張り疲れてベットへともぐりこんだ。
しばらくして、泣いた尚が部屋へと入ってきた。
「尚?」
----------------------------------------------------
〔そして今〕
「まぁ、こんな感じです。」
「はぁ。ってことはクマスケは自分でここまで一人で来たの?」
「うん。大変だったよ。」
「クマスケ...。お前は、えらいな。」
「そ、そう?」
「うん。モフモフしててそんなにかわいいのに、なんで俺っ言ってるの?」
「ん~、なんか、俺ってのがいい。」
「ふ~ん。あ、今日も僕と寝る?」
「えっ?!今日もって事は、まえも一緒に寝てたの?」
「うん。あ、そっか..。昨日の記憶がないから..。あ、昨日ね、一緒に寝たんだよ。」
「...!そうなの?!俺、とっても嬉しい!!」
「へへっ!僕も。..なんだかクマスケと話してるとすっごい楽しい!」
「俺も!!じゃあ、寝よう!」
「あ、まって!僕、歯磨きしてこなきゃ。」
「うん。わかった。」
僕はウキウキしながら洗面台へと向かった。
お読みいただきありがとうございました!
もしよろしければ自作も読んでいただくとうれしいです!




