女王達の朝(二)
「あれ?珍しいね、私達より早く誰か起きてるの」
「ん?あ、本当だ」
私達は普段、通用門から出入りしてて、そこからすぐのところの広間にいる。そこからは応接間とか武器庫、書庫や衣装庫、浴場にすぐ行けるようになっている。因みに靴は履いているが室内用で、王宮の中で外靴のまま行けるのは応接間だけだ。
「あ、おはよ」
「ん?あ、はざーっす」
いつ聞いてもだるそうな声の二人、桜都水漓と黒井晃。
水漓は名前にも入ってるけど、水の女王。そして晃はその騎士。二人ともまだ十六だから、結婚はしてない。この国は男女共、十八歳から結婚ができる法律だから、あと二年。
「いつも起きてくるの一番遅いのに、今日は早いんだな」
「なんか二人して早く起きちゃって…」
「え、水漓が早く起きて俺を起こしたんじゃん」
「え?そうだったっけ…?」
水漓は少したれ目で、真っ直ぐな赤茶色の髪の、美少女って言葉がぴったり。
晃は眠そうな目で、前髪が長めで右目だけを分け目から出している。でもちゃんと顔出して笑顔になればかなりかっこいい。でもやらない。
とりあえず真理が淹れてくれた紅茶を飲みながら四人でまったりしてた。まだみんな起きてないから朝ごはんも食べられないし、仕事は八時半からだからまだ三時間くらいある。
すると、いきなりドタバタと足音が聞こえてきた。