女王達の朝(一)
カーテンの隙間から入ってきた光が顔に当たって、目が覚めた。
隣を見れば、茶色の癖っ毛の男が、窓に背を向けて気持ち良さそうに眠っていた。
今日もきっと忙しいだろうな、と思うけれど、私はこの生活は気に入っている。
ベッドから出ようとすると、さっきまで眠っていたはずの男が不意に目を開けた。
「…先に起きたなら起こして…」
気だるそうに言った男は、また眠りに入りそうだ。
「ああ、二度寝はだらしないからやめて」
そう言い残して、私はベッドから出る。そして、寝間着から仕事用の服に着替えて、部屋を出て歩き出す。
すると、私の部屋の向かいのドアから、前髪を真ん中で緩く分け、長い黒髪を細目のリボンで低めの位置に結わえた私のとっても美人な幼なじみが出てきた。
「真理、おはよう」
まだぼんやりしている真理に声をかける。
「ん…ああ、おはよう」
見た目は大人っぽい美人だけど、口調は少しボーイッシュなのが、「気の女王」を受け継いだ桐生真理、旧姓が胡陵、コリョウって読む。
「…ルカは?」
「ああ、多分今頃二度寝してるでしょ」
ルカってのはさっき私の隣で寝てた男で、私の騎士。なんであれに惚れたのか解らなくなってきたけど、まあ今はそれよりも気になる事がある。
「で、仙は?」桐生仙は真理の騎士で、私達よりも一つ歳上。
「…二度寝してる」
あの二人は本当に似てる。仲が良いと似てくるのかな?なんて雑談しながら下に降りると、二人分の影が見えた。