2 間抜けな不良のケンカ
「まさか……さっきのは君のお兄さんだったとは……」
陣夏は呆れ交じりの溜息を吐きながら呟いた。
さっきの一件は超シスコンのこの子の兄がこの子の護衛的なもの(?)をしていて、それを鬱陶しく感じて逃げ回っていた最中に目に入った陣夏を兄から逃げる出しに使った、というものだった。
陣夏は急にやってきた倦怠感から溜息を吐いた。
そんな彼の目の前にいる彼女は必死に彼に謝っている。その光景は普通の男子ならすぐにおちてしまうほどだ。しかし、彼はそんな彼女に興味を示さない。
「本当にごめんなさい! 兄がしつこくて……」
あの後、陣夏は成り行きに任せ、口を開こうとはしなかった。単に面倒臭かっただけでなく、彼女の兄からケンカを売られそうだった故だ。そうなれば、陣夏の負けは目に見えてい。加えて、彼女の兄自身がかなり強力な『術者』にも見えたからであった。
そして、彼女は彼が自分の彼氏ではないことを薄く表しながら、どうにか兄をはぐらかしたわけであった。
「別にいいんだけどよ、誤解は解いておいてよかったのか?」
「うん。あなたに迷惑をかけるわけにはいかないし」
あれで誤解は解けてないと思う、と内心でのみ呟き、陣夏は再び溜息をつく。
彼女が間を空けずに口を開いた。
「名前を言ってなかったわね」
陣夏は少し瞬きの間隔が短くなった。どうやら完全に忘れていたようだ。
「私は原 ライカって言うの。よろしくね」
ライカはかなりフレンドリーな感じの少女だ。それに、かなり運動能力も良さそうと陣夏は反射的に思った。
彼女は日本人とアメリカ系のハーフで、今まではアメリカで過ごしていた、と語っている。つまりは帰国子女。
しかし、彼女の髪は若干茶色を帯びた色をしている上、目も日本人そのものなので、外見では日本人と見分けがつかない。
国の力は『術者』の数とその能力の高さによって表わされるので、海外の学校に行ってしまっては国力が低下する、と考える人がいるかもしれない。それ故に海外の学校に進学することは許されない、と思う人もいるかもしれないが、実際はそんなことはない。ライカやその兄のように海外からの進学者もこの学園ではよく見かけることができる。外国から来た子は生徒会にも少数ながら所属している。
陣夏は自分の名前を言うために口を開く。
「俺は瀬々嶋 陣夏。よろしく」
陣夏とライカはお互いに自己紹介を終えると、1年棟の正面玄関に向けて歩き出した。風はそこまで強くなかったが、なぜか陣夏は冷たく感じた。
「陣夏はなんでこの学園に入ったの?」
不意打ちな質問がライカの口から飛び出した。陣夏は彼女の目を見てみると、彼女の目は眩しかった。陣夏は回答に困ったが、すぐにそれは解決した。
正面玄関に着いたのだ。元々、1年棟の裏側から来ただけなのでそこまで時間がかかるとは思っていなかった。それが今回では陣夏に助け舟を出したのだった。
正面玄関では、玄関の前に設置された6つの受付に大量の生徒が並んでいた。少し待てばいいのではないか、とも考えたが、最後の方に入るのも嫌だという陣夏の考えで早めに並ぶことにした。
だが、並んだ先には舞花もいて、彼女こちらの方へ近寄ってきた。陣夏は退屈しのぎには丁度いいと思い、口元を緩める。
「……ほら、早く並ぼうぜ。ただでさえ混んでるのに、これ以上はたまらん」
陣夏はライカに催促をかけ、舞花と同じ列に並ぶように促した。陣夏たちが並んでいるのは3つ目の受付。パッと見、そこが一番生徒が少なかったからだ。と、言っても、ほかの列とはそこまで変わらないが。
陣夏はその列で舞花をライカに、ライカを舞花に紹介した。似たような名前の2人はすぐに意気投合したようで、陣夏は蚊帳の外に投げ出された。が、平穏を愛する彼にとっては好都合だった。陣夏は雲1つない空を見上げ、口元を緩めて息を吐き出した。
しばらくすると、陣夏の順番がやってきた。だが、自分の名前のところに丸を付けるだけの作業だった。そんなことで並ばせるなよ、と内心でイラつきながら呟いた。
陣夏はあらかじめ確認しておいたクラスの教室に爪先を向ける。廊下には新品の制服に交じって少し使った風情のある物が含まれていた。生徒会だろう、と納得させ、陣夏は急ぐ。周りの視線が冷たい。そして、痛い。『美しい』女子と『可愛い』女子を引き連れていれば当然の結果か。
「陣夏さんはなんでこの学園に?」
舞花からも、とイラつきを感じつつ、2人に聞こえないように舌打ちをする。彼は脳内で適当に思いついたことを口にする。
「単純に強くなりたい、と思っただけだ。あと、俺のことは呼び捨てでいい」
「本当に単純ね」
ライカは陣夏に吐き捨てるように言った。そのことから彼女も舞花と同じ理由でここに来た、と察しがついた。
と、その時。
「こらぁ! お前、なめてんじゃねぇぞ!」
「そっちからぶつかってきたんだろうが!悪いのはお前だろ!」
怒声が廊下内に響き、新入生が一斉にそこに視線を集める。もちろん、陣夏たち3人も。
さっきのライカの兄ではないが、真面目に着た制服と雰囲気があっていない、不良のような雰囲気の2人が一触即発の状態になっていた。
「あれってヤバくない?」
「ケンカか?」
周りにいる野次馬がいろいろなことを口から漏らす。舞花とライカは半ば焦っている様子だったが、陣夏は無表情でその様子を眺めていた。
周りには教師も生徒会役員の姿はなかった。
それが、2人の怒りを加速させた。
「お前、ぶち殺すぞ!」
その1人が黙ったままだった。その様子を見て、陣夏は焦りから表情を微妙に変える。
「マズイな……」
陣夏は誰にも聞こえないような大きさで呟く。
「何で?」
舞花がその陣夏の呟きに疑問の念を抱いた。ライカもその様子だった。
「1人が黙ったまま、つまり脳内で『召喚術』を詠唱している」
彼女たちが陣夏から視界をケンカの方へ戻した、
その刹那。
「だいたい、お前がなぁ……!」
「黙れよ」
不良の1人の右手にまぶしい光が現れた。そのまま、右手にはオートマチック式の拳銃が召喚される。その不良はその銃口をもう1人の不良に向ける。その不良は従うように口に溜まっていた言葉を飲み込む。
「お前はつべこべ言わずに謝ればいいんだよ……分かったか?」
その言葉に圧されるようにして銃口を向けられている不良は半歩後ずさる。
「早く謝れよ」
その言葉を口走った途端、もう1人の不良も片手に自動拳銃を召喚させた。そのまま銃口を向け、お互いに銃口を向ける構図となった。
「ここはどこか分かってんのか? お前だけが『召喚術』を使えるわけじゃねぇんだよ!」
彼らはお互いに睨み合い、先ほどまでの雰囲気に戻った。
その場の雰囲気に緊張感が戻る。
まだ教師や生徒会役員が姿を見せる気配はない。この場の雰囲気なら誰かが言いに行っていてもおかしくない。舞花は、陣夏がこの雰囲気に何の影響も受けていないことに訝しい表情を見せた。彼女は『召喚術』を行使する様子を見せた。
が、それは陣夏の手が制した。彼は彼女たちの観察力に低さから舌打ちしたい思いになった。
「陣夏、これを止めないと……!」
「止める必要はねぇよ。馬鹿な連中は銃の使い方を忘れていやがるから」
「何で分かるんですか?」
舞花は彼を不思議に思い、訝しい目を向けた。
「だってこいつら、セーフティを外すのを忘れているからな」
舞花は陣夏にそう言われて2人の拳銃を凝視した。セーフティがオンになっているままだった。これでは銃弾は出てこない。この2人は銃については素人だろうという予測もついた。
それは、引き金を引くという行為はどのようなことかは知らない、ということの証明に他ならない。
それどころか、銃の普通の召喚の仕方も知らない。
銃を召喚させるとき、普通はセーフティをオフにした状態で召喚させるのだ。それが、世の常だ。
「……確かに、外してないですね……」
舞花は、そんなことを知らない2人に呆れ交じりの溜息をついた。その会話を聞いていたライカもまた、2人に軽蔑の眼差しを送った。
セーフティがオンになっていることも知らずに周りで騒ぐ野次馬は、どんどん集まってきた。このままだと教師または生徒会役員が来るのは時間の問題だと陣夏は悟り、踵を返した。舞花とライカも自分のクラスを確認するために彼についていった。
○
すでに教室にはたくさんの生徒が入っていて、緊張しているという雰囲気もあったが意気投合した者同士が話をしていた。教室に半世紀から目立った変わりはなく、強いて言えば黒板が電子式になったぐらいか。だが、自分のノートに自分の手で書きこむというのは昔から変わっていない。電子式のノートを持ってくる者もいるみたいだが、ほとんどの者は未だに紙でできたノートを使用している。そのため、国自体の学力低下するという事態はない。まぁ、最近ではパソコンから1学年の全クラスに同じ授業をするという効率重視の学校も増えてきていてはいるのだが。
そんな昔からの風習を守り続けるこの学校の新クラスをあらかじめ確認しておいた陣夏は、6組の教室に向かっていた。舞花とライカは新入生が大量に群がる新クラス発表の紙に向かっていった。なので彼は先に6組の教室に足を踏み入れた。
この塙ヶ咲学園は1学年の人数が450人で、10クラスある。つまりは1クラスにつき45人。全学年合わせると、1349人に及ぶ。中等学校からでは考えることのできない人数だ。こんなに1学年当たりの人数が多い学校はそんなにはないだろう。
その内の1クラス、10組には推薦で入った者達が集められていて、『術者育成科』の中でもエリートのみが集まる組だ。この組に所属し、無事に卒業できた者たちは将来が約束されたようなものだ。因みに10組からはよく生徒会長が選出されている。
陣夏は正面の電子黒板に書かれた通りの席の、廊下側から2列目の4番目の席に腰かけた。その前の席の人物は、既に着席していた。その人物は、不意に体を捻ってこちらに顔を向けてきた。
「お前が俺の席の後ろの『瀬々嶋 陣夏』って奴か?」
いきなりだな、と内心で驚倒しながらその人物の目を捉える。陣夏は電子黒板に目を遣った。
「あんたは『鈴樹 大智』っていうのか」
「そうそう! よく名前が分かったな! 覚えておいてくれたのか!?」
「前の黒板を見れば分かるだろ」
どうやら大智は新入生のクラス発表の紙から陣夏のことを覚えてくれていたようだった。陣夏はそんな彼の記憶力に目が点になった。
大智は顔を俯けて陣夏の答えに少し落胆している様子だった。彼はデリケートな性格と言える。陣夏は大智の様子に少しの笑みを零した。
「笑うな!」
「いや、分かりやすいなと思っただけだよ」
陣夏は笑みを零しながら息を吐いた。彼は不意に大智から視線を逸らすと、その先で友達らしき人物と話している舞花の姿が目に入ってしまった。それに加え、彼女がタイミングを読んでいたのではないか、と思わせるほどのタイミングで陣夏の顔を捉えたのだった。
「あれ? 陣夏さんもこのクラスだったんですか」
舞花は友達との会話を中断し、こちらに近寄ってきた。陣夏は仕方なくそれに答える。
「……ああ。ここだよ」
「そうなんですか! 私もです!」
言わなくても分かる、と心の中でのみ呟き、彼女の視線を顔の形を変えずに受け止め続ける。因みにライカは7組らしい。
そして、陣夏の隣の顔の表情は驚くほど変わっているのは予想するまでもない。
「お……おい、瀬々嶋……、お前、明結さんとどういう関係なんだ……?」
大智がゆっくりと、1文字ずつに力を籠めて陣夏に尋ねる。陣夏は大智を一瞥し、口を開いた。
「入学式の蚊取り線香だよ」
「は?」
大智は陣夏の言ったことを理解しきれずに顔を傾げていた。舞花はその答えに不満を持っているようで、頬を膨らませている。が、陣夏の知るところではなかった。
陣夏は入学式の舞花同様、周りの視線を見るように彼に促した。
「そ……そういことか……」
大智は周りを見渡すと、合点がいったように口から「なるほど」と零した。
「ていうか、お前はなんでそんなふうに見られてんの? はなしゃなかなかいいやつじゃん、陣夏は」
「俺はこの……なんだ、ネクタイか。こういうふうな制服の着方を知らねぇからな。皺くちゃで着てるからだろうな」
「それだけの理由でかよ。くだらねぇ」
「確かに……、くだらないですね」
2人は陣夏に対する周りの視線に憤りを感じられずにはいられなかった。だが、陣夏はそんな2人を言葉で制した。
「2人とも、そこまで怒るな」
「いや……だってさ……」
「俺はどう見たって『異端児』なんだ。『召喚術』もあんまり使えねぇしな」
陣夏が言葉を吐いた途端、2人は陣夏の自虐的発言に怒りを抱いた。
でも、舞花はその怒りのほかに感じられたものがあった。
「陣夏さん……」
「なんだ?」
舞花は怒りの表情に訝しいものを混ぜ、眉を顰めた。そして、その疑問の念を陣夏にぶつける。
「『召喚術』があまり使えない、というのは?」
陣夏の眉が曇るのが分かった。
「……俺は、銃を一回しか召喚できないことだ」
「銃を……たったの一回しか召喚できない?」
2人は訝しい表情に変わった。舞花と大智は間違いなく陣夏の言い間違えを疑っただろう。一回なんてあり得ない。そんな表情が2人から見て取れた。
たったそれだけの成績でこの学園の入学試験に合格できるわけがないのだから。
「じゃ、じゃあ何か特別なものでも召喚できるとか? 例えば、世界でもあまり召喚できる人がいない超電磁砲でも召喚できるとか?」
「銃器に関してはさっき言った通りだ」
彼は舞花の口の動きを止めるように重く、そして冷たく言い放った。彼の目は曇っている様子はなく、本気で言っているようだった。
大智は陣夏に対して湧き出てきた疑問を1つぶつけた。
「『呪術』でも使えるのか?」
「その才能に関しては皆無だ」
「即答かよ……。せめてもう少し悩めよ……」
呆れたように大智は言う。彼はほかの可能性も考えたが、頭の中に浮かんでこなかった。『忍術』の可能性も考えたが、廃れていっている忍術の可能性は切り捨てていた。
大智は必死に頭の中を絞ってほかの可能性を考えたが、やはり出ててこなかった。舞花のまた然り、だった。陣夏はそんな2人に笑みを向けた。
「2人とも、そこまで俺のことを考えなくてもいいよ。これは、俺のも問題だし」
「そうはいかねぇよ。ここで知り合った人第一号なんだから」
「そ、そうなのか?」
「そうなんだよ」
大智が口元を緩めて短く言った。舞花も口元を緩めていた。陣夏も2人に連れられて口元をさらに緩めた。
○
「ここで皆さんが同じクラスになったのは何かの縁です。この1年間、仲良くしてくださいね。もちろん、担任である私も含めてね」
教室に響くややソプラノ気味の声。半世紀前と変わらず教壇に立つ女の教師。このクラスの担任である及川 奈乃果はその声で6組のクラスメイトに説教じみた御託を並べる。彼女が口を開いて何分経ったのだろう。分からないが、兎に角かなりの時間がたっているような気がする。
そんな中で欠伸を漏らす陣夏。相当、暇な故だ。
「人生はたった1度きりです。その中でも高校生活は3年間だけです。そして、この高校1年生は今だけです。なので、」
陣夏は改めて奈乃果の方を視界に捉える。
「みなさん、立派な『召喚者』を目指しましょう!」
陣夏は心の中で噴いた。どこからその結論に至ることができたのかが分からない。それに、彼女の言い方が小学生に対する言い方そのものだったので、彼は必死に笑いをこらえた。教室には静寂がはしっている。だが、周りを見渡すと笑いをこらえている者が目に入った。
「ということで、明日からは軽めながら授業が始まります。『収納術式』で武具を召喚できるようにしてきてください。今日はこれで解散です」
奈乃果は教室に踵を返し、そのまま職員室に戻っていく。
陣夏は机の横からカバンを取り出し、そのまま席を立つ。肩にカバンを提げ、イスを机の中に突っ込む。大智は陣夏と同時に席から離れた。
「一緒に帰ろうぜ」
断る理由もない陣夏は彼と帰ることにした。
「いいぞ」
「陣夏さん、一緒に」
「明結さん、そんな奴と帰らないで一緒に帰らないか?」
陣夏と一緒に帰ろうと舞花は彼に近付いたが、その横から性格の良さそうな男子が彼女に柔らかな視線と笑顔を投げつけながら近付いてきた。それも、彼女が話しているのを遮りながら、である。彼は陣夏を睨むように一瞥すると、舞花の方へ顔の形をなおして視線を戻した。
「どうだい?」
舞花はその顔の形を若干崩し、言葉に力を籠めて言い放った。
「せっかくのお誘いですが、お断りしておきます。先約があるのです」
「そんな硬いことを言わないでさ」
彼が口を開きながら彼女に詰め寄ると、そのまま彼女の腕を掴もうとした。強引にでも一緒に帰ろうとしたのだろう。
が、その行為とその考えは中断せざる得なくなった。
「君、手を放してくれるかな?」
陣夏がその腕を自分の手で掴んでいた。
それも、かなりの力をその手に籠めて、だ。
「……彼女は断っただろ。諦めて帰りな」
陣夏は若干の殺気をその言葉に混ぜ、その男子に言い放つ。その男子はさっきまでとは打って変わって睨むように陣夏を視界に捉える。眉を上げ、怒りを示した。周りのクラスメイトはその様子を注視する。
「君は噂の『異端児』君かい?」
「そうだよ。ていうか、噂ってなんだ。自覚はしてるつもりだけどよ」
陣夏自身が思っていたことがいつの間にか噂となって学園内に流れていた。1日にしては早すぎると陣夏は思ったが、どうでもいいこととして処理した。
だんだん緊張感の高まる教室内。硬くなっていく空気。騒ぎ立てる野次馬ども。
陣夏は男子生徒に目を向けたまま突っ立っていた。
「……分かった。一先ず、ここは引き上げることにしよう」
陣夏は緊張感から解放された気持ちから思わず溜息をついた。
「だが」
その男子生徒は途切れさせずに言葉で制した。
「このことは明日の楽しみとして置いておいてやる」
その男子の言葉にはどこか粘り気のある物が混じっているように感じられた。
いや、感じられずにはいられなかった。
陣夏は目元を戻し、男子生徒を改めて視界に収めた。
「……どういうことだ?」
「明日は武具を召喚できるようにしてこいって先生は言っただろう?恐らく 明日は模擬戦でもやるつもりなんだろうよ」
男子生徒は笑みを浮かべながら陣夏に言い放つ。その予測は彼にとって喜ばしくない物だった。