第五話:密会
「場所は私が案内します」
と、岡崎先生までこのイケメンの味方だ。
私が必死で捕まれた腕を振り払おうとしていると
「そんなに警戒しないでよ……」
まるで捨てられた子犬みたいな目で見られてしまった。ずるい……。
さっきまで自信満々だったくせに。
……なんだろう、すっごい罪悪感
私は抵抗を諦めて、大きな溜め息を吐くと
「分かりました。話を聞くだけですからね!」
と答えた。
すると捨てられた子犬と化したイケメンは
「ありがとうございます!」
と言うと、耳が立って尻尾を振るシェパードに変化した。
いや……話は聞くと言ったけど、行くとは一言も言ってないからね!
と心の中で叫びながら、校長室を出た。
岡崎先生の後ろを、イケメンに腕を捕まれたままで第2会議室へと向かう。
……なんだろう?捕縛された犯人の気分だ。
試験休みという事もあり、職員室の前を通る訳には行かないので、第2会議室になったのだろう。
校長室を出て渡り廊下を歩いた先、すぐの場所にある第2会議室の鍵をイケメンが開けた。
「15分毎に1度、様子を見に来ます」
岡崎先生はそう言って、イケメンから鍵を預かって職員室へと戻って行った。
中に入ると、イケメンがようやく腕を離してくれたので、私は窓を開けるフリをしてイケメンから距離を取った。
会議室の窓を全部開け
いざとなった時の逃げ場の確保は大事だからね!
イケメンは私の行動を気にする感じでも無く、出口近くの椅子に腰掛けた。
「気は済んだ?」
そう言われて、私は無言で彼から一番離れた窓際の席に座る。
「そこまで警戒されると、傷付くな」
ポツリと言われて、私はイケメンの顔を見た。
「ねぇ……俺と会うのは2回目だけど、覚えて無いの?」
そう言われて首を傾げる。
こんなに綺麗な顔、1度見たら忘れないと思うけど……。
私は必死に考えてみたけど、全く記憶に無い。
私が首を横に振ると、彼は悲しそうに微笑み
「そっか……」
とだけ呟いた。
何だか申し訳なくなり
「ごめんなさい」
と言うと、彼は、目の前の窓の外に視線を向けると
「俺は一度も、忘れた事無かったのに……」
そう呟いた。
その言葉が、やけに寂しげに聞こえた。




