第四話:イケメンの焦り
すると、余裕かましていた隣のイケメンが、びっくりした顔で私を見た。
「私に拒否権、ありますよね?それとも、拒否したら退学ですか」
校長先生に質問すると
「いえ、拒否したからと言って、退学にはなりませんよ」
と返事が来たので
「では、私はお断りさせて下さい。もし、他にも候補の方がいらっしゃるのでしたら、その方々にお譲り下さい」
そう返事をして立ち上がった。
その時だった。
「待って!」
突然そう叫ぶ声が聞こえたかと思うと、隣に座っていたイケメンが私の腕を掴んだ。
「他に候補なんて居ない!きみじゃなきゃ……ダメなんだ!」
さっきまでの余裕は無く、必死な顔をするイケメン。
(なんなの?なんでそんなに必死?)
思わず怖くなって後退りすると
「校長先生。決して彼女に危害を加えたり、強要したりしません。ですから、2人だけで話をさせて頂けませんか?」
と言い出した。
(いやいやいやいや!いくら何でも、若い男女を2人きりって……)
心の中で突っ込みを入れていると
「構わないですよ」
と、校長先生があっさり許可した。
私は唖然として
(な……なんですってーーっ!)
ムンクの叫びの顔になって、心の中で叫んだ。
イケメンはにっこりと微笑むと
「ありがとうございます。では、何処へ行けば良いですか?」
と、校長先生と2人で話を進めている。
いや、待って!
そこに私の拒否権は?
こんな、キラキラした物凄いイケメンに間近で言い寄られて、私の意思が揺らぎでもしたらどうすんのよ!
私は必死に校長先生に首を振って訴えるが
「江波さん、大丈夫ですよ。
深見君は信用に値する方ですから」
って、微笑んでいる。
はあ?イケメンで生徒会長で、信用に値する人格者だって?
いやいやいやいや!
絶対におかしい!
しかもこいつ、なんか胡散臭い!
やたらキラキラしやがって!
疑いの視線を向ける私の腕をずっと掴んだまま、イケメンは校長先生から第2会議室の鍵を受け取っていた。
待って、待って、待って!!
私に拒否権は~~!!
私の心の叫びは、誰にも届かなかった。




