第三話:転校
「お休み中に呼び出してすみません。緊急事態でしたので」
そう言われて
(緊急事態?)
首を傾げる。
「江波さんの隣に座る彼ですが……」
と言いかけた校長先生を、隣の彼が片手を上げて偉そうに制すると
「初めまして。開進大学附属高等学校の生徒会長をしております、深見遼と言います」
そう言って微笑んだ。
開進大学附属高等学校?
確か……有名なお嬢様、お坊ちゃま学校で、幼稚園からの一貫教育エスカレーター式で、中途入学は一切受け付けていない学校だ。
そんな学校の人が何故?
疑問の視線を向けると、そいつが私の視線に気付いてにっこりと微笑んだ。
イケメンの微笑は眩しいなぁ~と思いながら
「はぁ……、江波美夜です」
と答えて、ぺこりとお辞儀した。
すると
「江波さん、とても名誉なお話なんですよ!」
いつになく興奮気味な岡崎先生(まだ、居たんだ……)が、校長先生の隣に座って叫んだ。
私が疑問の視線を岡崎先生に投げると、校長先生は「まぁまぁ」と言いながら
「江波さん、あなたに開進大学附属高等学校から引き抜きのお話が来たんです」
そう言われて目が点になる。
「我が校と開大附はグループ校でしてね。まさか、その頂点の開大附から引き抜きの話が来るなんて夢のようです」
浮き足立つ校長先生と岡崎先生に、私の頭は真っ白になる。
「えぇーっ!って事は、転校!」
思わず叫んだ私に、岡崎先生が睨み付けてくる。
はいはい。
一応、「元」お嬢様学校だもんね!
品良くって言いたいのよね……。
「寮に入って頂く条件で、学費から教材費、制服や寮のお金も一切かかりません。こちらが転入手続きに関する書類です」
校長先生から書類を差し出され、私は一瞥したものの
「お断りは……出来ないのですか?」
と切り出した。
上手い話には裏がある。
なんか……嫌な予感しかしないのよね




