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第十三話:新しい学校での日々

「ごきげんよう」

優雅な笑顔が行き交う校内。

私は思い切り、転入初日から浮いていた。

原因は分かっている。

転入日の朝、何故か寮まで遼が迎えに来た。

「何で迎えに来るのよ」

目を据わらせる私に、遼は楽しそうに

「可愛い彼女を迎えに来て悪いか?」

そう言って笑ったのだ。

(な〜にが、可愛い彼女よ!)

私は心の中で毒吐きながら遼を睨む。

あの日、衝撃に固まる私を部屋まで送り届けると、遼は

「お前を連れて来た以上、お前のことは俺が守らなくちゃならないと思ってる。だから、嘘でも彼女のフリをしていてくれ」

と言い出したのだ。

「拒否権は……」

「ない!」

即答。

(ですよね〜!)

心の中で諦めの言葉を叫ぶ。

……で、転入初日に遼と学校に登校したもんだから、私、注目の的よ。

しかも、転入早々で生徒会に所属しているっておかしいよね?

私が逆の立場でも、そう思うもん。

私ね、てっきり最初は生徒会のお手伝いのていで入学だと思っていたわけよ。

それなのに……それなのに……涙。

なんでいきなり、生徒会副会長なのよ!

まぁ……お陰様で私、皆様から遠巻きに見られている訳ですよ!

自席で静かに、心の中で体育座り。


「江波さん、次は移動教室ですよ」

優しい笑顔を浮かべた力の彼女、春原琴音さんが声を掛けてくれた。

「え? 教えてくれて、ありがとう!」

笑顔で言うと

「校舎、わからないですよね。一緒に行きましょう」

と言ってくれた。

(春原さん、マジ神~!)

一緒に歩いて化学室に移動していると

「大変ですよね。この学校で深見兄弟と言ったら人気があるのですが、遼様はその中でも群を抜いて人気があるんです。ですから、嫉妬されてしまうのですよ」

そう言われて、愕然とした。


遼が一番人気とか(笑)

あぁ、でも……顔面凶器だもんね。


見た目だけでモテるか。


──性格は悪魔だけどね!


なんて考えていると

「深見家と言えば、この開進大附の創設者一族であり、理事長のお孫さんですものね。しかも遼様は、深見家の嫡男。未来の理事長ですから、余計にみなさまから羨望の眼差しを向けられてしまうのですよ」

にっこり微笑まれて言われ

「へぇ~、遼って理事長の孫なんだ~」

と空返事してから、私の脳は一旦、フリーズした。

「え?……えぇ!」

驚く私に、春原さんも驚いた顔をして

「何も……聞いていらっしゃらないのですか?」

と呟いた。

(なにも……ってことは、他にもあるってことよね?)

私はブンブンと首を横に振って

「聞いていらっしゃらないです!」

と叫んだ。


──ん?今ので……合ってる?


私、お上品な言葉とか無理なんだけど?

……おい遼。

庶民を連れて来たんだから、先にレクチャーしとけ。


心の中で、悪魔に毒を吐いていた。

春原さんはそんな私にクスクスと笑い出し

「遼様は、江波さんのそういう真っ直ぐな所に惹かれたのでしょうね」

と言って、上品に笑っている。


転入初日。


理事長の孫の彼女(仮)で、

副会長で、

顔面凶器の隣を歩く私。


……私、この学校で無事に生きていけるのだろうか?

誰か、教えてー!


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