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第5話:【超絶悲報】ワイ、聖地の泉を「なんJの海」に変えてしまい、ヤンデレ精霊に責任(意味深)を取らされるwww

「……アカン、これマジでアカンやつや。身体が鉛のように重い。これ、ただの運動不足によるデブのせいちゃうぞ。全身の水分という水分が、あのリーサルモールゲルの塩に全部持っていかれとる……。ワイの細胞の一つ一つがおい、OC-1はまだか!アクウリアスを点滴しろ!ってシュプレヒコールを上げとるわ」


 数時間前、リーサルモールゲルにて。ワイはあろうことか邪教の勧誘と勘違いされ、街の人総出で清めの塩をぶっかけられた。それだけならまだしも、追い打ちをかけるように高純度の聖塩まで撒かれた結果、ワイの黄色いカエル型の肉体は、今や動く一夜干しの状態にまで追い込まれていた。


 肌はカピカピに乾燥し、本来の瑞々しい質感はどこへやら。吸盤は粘着力を完全に失い、一歩歩くたびに「ペリッ……ペリッ……」と真夏のビーチで日焼けしすぎた背中の皮が剥けるような不快極まりない音を森の静寂に響かせている。


「……ねぇ、あなた。……そんなに辛そうにしないで。……あなたが苦しんでいると、私の心まで塩を塗り込まれたみたいに痛むの……。……いっそ、私があなたの水分になってあげようか……? 私の血を、一滴残らずその干からびた口に流し込んであげる……。そうすれば、私たちは本当の意味で一つになれるでしょ……?」


 背後で黒いオーラを物理的に引きずりながら歩くリリィが、恍惚とした表情で自分の手首を見つめている。


「重いわ! 発言が100%サイコパスなんよ! お前の血なんか飲んだら、ワイの純粋ななんJソウルがどす黒いメンヘラに侵食されてまうわ! ワイはもっとこう、パカリスエット的な爽やかな救済を求めてるんや! 黙って泉までエスコートせえ!」


 ワイの罵倒を全身で受け止め、リリィは「あはっ……やっぱり私って、飲み物以下なのね……ゴミ以下の、ただの汚物……。でも、そんな私を必要としてくれる……嬉しい……」と、異様なまでの喜び(絶望)を噛み締めながら巨大な十字架メイスを杖代わりにして、森の深部へと続く隠し通路を突き進んでいた。

 

 数時間の地獄の行進の末、木々が不自然なほど完璧な円状に切り開かれた空間に出た。そこには、底まで透き通るようなコバルトブルーの水を湛えた、見る者の魂を浄化するような幻想的な泉があった。水面からは虹色の魔力が美しい蒸気となって立ち上り、周囲の空気は都会の排気ガスとジャンクフードの臭いに汚されたワイの肺を、暴力的なまでの清涼感で洗浄していく。


「……おお。ここが聖地の泉か。なんかRPGの最終ダンジョン手前にある全回復ポイントみたいなオーラ出とるな。前世やったら一泊20万はする最高級スパの雰囲気や」


「……ええ。ここは限られた高位聖職者しか立ち入りを許されない、四大精霊の一柱が守護する秘匿された浄化の地。……今の私は破門寸前のゴミだけど、あなたを救うためなら、神の怒りなんて怖くないわ。……さあ、その美しくも醜い身体を、私の代わりに清めて……」


 リリィの言葉が終わる前にワイは我慢の限界を超えていた。


「ンゴォォォォォォォォォォォ!!!」


 巨体が宙を舞い、美しい水面に激突する。その瞬間、全身を苛んでいた塩気が一気に洗い流されワイの細胞が歓喜の悲鳴を上げた。ワイには魔力など一ミリもないがこの肉体は紛れもなく水辺の生き物。干からびていた皮膚がスポンジのように聖水を吸収し、三段腹の隙間にまで潤いが行き渡る。萎んでいた吸盤はパンパンに膨らみカピカピだった肌は高級化粧水でも使ったかのような、ヌルテカとした不健康なまでのツヤを取り戻した。

 しかし、奇跡はそこで終わらなかった。


 ――ズズズズズ……ゴゴゴゴゴ……。


 静寂に包まれていた泉の底から、聞いたこともない不穏な重低音が響き渡る。清らかだったコバルトブルーの水が、ワイの身体を中心にみるみるうちに濁り始めた。原因は明白だ。ワイの体から溶け出した数日分の汚れ混じりの脂、浮いた塩分、そしてリーサルモールゲルの聖塩となんJ民としてのカルマが、聖水と最悪の化学反応を起こしたのだ。

 水面にはドロドロとしたヘドロのような泡が噴出し、虹色に輝いていた魔力の蒸気は、いつの間にか国道沿いの溝板の下に溜まった汚水のような、怪しい虹色の油膜へと姿を変えていた。


「……ん? なんや、急に水質汚染始まってんぞ。ワイの排出物が強すぎて、生態系が絶滅の危機に瀕しとるんちゃうか……?」


 次の瞬間、泉の中心部が爆発したかのように激しく割れた。


「――汚い! 汚すぎるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 怒号と共に水しぶきを跳ね上げて現れたのは、蒼い髪をポニーテールにまとめ、濡れた身体に薄い水色の戦闘服が張り付いた一人の少女だった。

 彼女こそ、この泉を数百年守護してきた四大精霊の一柱、水のカミラである。その美貌は怒りで真っ赤に染まり、瞳には聖域を穢されたことへの純粋な憎悪が宿っていた。


「私の……私の数百年かけて磨き上げた清廉な聖水が……!! 何なの、このギラギラした油膜は! この、鼻を突くような生活習慣病の臭いは! キミ、神聖なこの場所に何を連れ込んできたのよぉ!!」


 カミラは空中で水のレイピアを生成すると、水面に浮かんでいるワイの喉元……ではなく、物理的に最も盛り上がっている三段腹の頂点に剣先を突きつけて着水した。


「……動かないで。動けばこの水霊の針がその無駄な脂肪を内側から破裂させて、全身の水分を熱湯に変えて煮殺してあげる。……ふん、情けない格好ね。神聖な泉で、腹を出してQOL爆上がりなんて顔して浮くなんて、万死、いや億死に値するわ!」


「……おいおい、お嬢ちゃん。初対面でいきなり腹に剣向けるとか、マナー講習受け直してこい。ワイはただの風呂好きのカエルや。お前こそ、水の中に潜って何しとったんや。覗きか? 異世界の精霊はそういう性癖なんか?」


「の、覗き!? キミのような醜悪な個体を覗いて、何のメリットがあるというのよ! 私は聖域の守護者、水のカミラよ! 修行のために深い底で瞑想していたのに……いきなり空から汚物の塊が降ってきた私の気持ちがわかる!?」


「修行(笑)。数百年も水の中でブクブクやっとるだけで強くなれると思っとるんか? 効率悪すぎやろ。タイパの概念ないんか。そんなんだから精霊界の窓際族なんやぞwww」


「……な、ななな……っ!? キミ、今私の聖なる努力を、ニートの暇つぶしみたいに言ったわね!?」


 激昂したカミラが、水のレイピアを蒼い殺気と共に振り下ろそうとしたその瞬間。泉のほとりから、地を這うような、心臓を直接握られるような冷たい声が響いた。


「……ねぇ。……私のあなたを、煮殺する……? ……そんなの、私の役目なのに……」


 カミラが振り返ると、そこには完全にハイライトの消えた瞳をしたリリィが巨大なメイスを片手で軽々と持ち上げて立っていた。その背後にはもはや物理的な質量を持った絶望の煙が立ち上っている。


「……精霊だろうと神だろうと……私の唯一を傷つけるなら……この泉ごと、霧の一粒まで叩き潰してあげる……」


「ヒエッ、リリィお前マジのトーンで言うなや! それ精霊相手に使う火力ちゃうやろ!」  


 ワイは泉から這い上がり、潤いを取り戻した一千万ボルトのツヤを放つ腹を「パンッ」と叩いて二人の間に割って入った。


「落ち着け! カミラ、お前もそんなに修行だの何だの言うて、結局は頑張っとる自分に酔っとる地雷系精霊なだけや。実戦経験なさすぎて、ワイみたいなただのレスバ強者に一言煽られただけで顔真っ赤にしとる。そんなんじゃ、戦場に出た瞬間に敵にお前のマッマ、デベソやなwwwって言われただけで戦意喪失してまうぞ」


「そんな下劣な挑発に乗るわけがないわ!! ……というか、私の母上はデベソではわよ!!」


「ほら、食いついた。反応が早いのはネット掲示板なら有能やけど、戦場なら釣られやすさSSSランクやな。お前、前世でツイッター(現X)やっとったら、毎日自分から炎上しにいくタイプやろwww」


「……なんの話よ!! ええい、問答無用! 聖域を汚した罪、その命で購え!!」


 カミラが本気の一撃を放つ。レイピアの先から物質を原子レベルで分解する高密度の水圧が、ワイの三段腹のど真ん中に突き刺さる。


 ――ズボォンッ!!  


「……な、何!? 刺さらない……!? 私の権能が、ただの脂肪に押し返されている……!?」


 カミラは驚愕に目を見開いた。彼女の攻撃は魔力による浄化。しかし、ワイの身体には魔力の伝導性が絶望的なまでに無かった。それどころか、水分を限界まで吸い込み、脂質と混ざり合ったワイの皮膚は、今や外部からの衝撃に対して瞬間的に硬化する物理特化型・非ニュートン流体と化していたのだ。


「残念やったな。物理法則を舐めたらあかんで。速い攻撃ほど、ワイの腹肉は硬くなって弾き返すんや。魔力なんて高尚なもん、ワイの生きてるだけで精一杯の脂肪には通用せえへんのや!」


 カミラは信じられないものを見る目で、自分の剣先がワイの肉に飲み込まれ、ぬるりと包み込まれていく様子を凝視した。精霊として、あらゆる魔力を無効化される屈辱。だが同時に、レイピアを通じて伝わってくる温かく、圧倒的なまでに生々しい、野生の生命力が、数百年潔癖を貫いてきた彼女の芯を激しく揺さぶった。


「あ……っ、何これ。温かい……。私の水を、この醜い肉が強引に、無遠慮に……。……くっ、離しなさいよ! この、脂ぎった、強引なカエル……っ!!」


「離せ言われても、お前が突っ込んできたんやろ! せいぜいワイのカルマを味わえ! ンゴォォォォォォ!!!」


 ワイは全身の重みを腹に集中させ、一気に突き出した。


 ――ボヨォォォォンッ!!!


「きゃああああああっ!?」  


 カミラは自分の攻撃の衝撃をそのまま肉の弾性で跳ね返され、地面に突っ伏した。


「……あ、あ……。何よ、あの感触……。私の浄化を、あんなに下品な物理で跳ね返すなんて……。……あんなに太ってて、醜くて、汚物まみれなのに……どうして、私の心まで波立ってるの……?」


 地面に突っ伏したカミラは荒い息をつきながら、ワイが汚染したなんJの海を見つめた。清廉だったはずの聖域が今や自分の管理下を離れ、ワイの脂によって新たな生態系(?)を形成しようとしている。


「……見てよ、この泉。もうドブ川みたいになってる……。あは、あははは! 聖域が、私がキミに汚されたも同然なのよ! 恥辱にまみれて、もう精霊としてまともに生きていけない……! この責任、どう取ってくれるのよぉ!!」


 カミラの瞳に、暗くてドロドロとした執着が宿った。


「……決めた。責任、取ってもらうわ。キミが私を汚したんだから、私はキミの内側に入り込んで、その汚い体を支配してあげる……。死ぬまで、私の水なしでは生きられない体にしてあげるわ……!」


「……ねぇ、あなた。……やっぱり、この精霊、今すぐドライアイスにして砕いたほうがいいわ……」


 リリィのメイスが不気味な火花を散らすが、ワイはそれを手で制した。


「分かった、責任取ったる! カミラ、お前も連れてったる。ワイの専属飲み水係としてキンキンに冷えた天然水を供給する権利を与えたるわ! これでええやろ!」


「……飲み水係? 私を、キミの体内に流し込むっていうの……? ……ふふ、最高じゃない! キミの喉を通って、キミの胃を、血を、細胞を、私の水で満たし尽くしてあげるわ……! ゾクゾクする……!」


 こうして、聖地を環境破壊した挙句、四大精霊の一柱を飲み水として拉致したワイ。


「……あかん、これ、ハーレムっていうより、ただの爆弾処理班やんけ。右も左も地雷でワイ、いつか腹の内側から乗っ取られそうで草も生えんわwww」


 ワイのでっぷりとした腹が、再び「ギュルルルンゴォォォ!」と鳴り響いた。  

 異世界道中は、もはや爆弾を二つ抱えて歩くような、絶体絶命の旅路へと変わり果てていた。

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