第21話:【悲報】調査団、敗北wwwwww
北の大地を貫く一本の街道。そこを一台のボロい馬車がギシギシと音を立てて進んでいた。馬車を引くのは茨の魔術で自分を縛り上げ、泥まみれになりながらも恍惚とした表情を浮かべる魔女ローズ。そして荷台にはフリルたっぷりのドレスに身を包み、退屈そうに教本をめくる美少年エーミールが鎮座していた。
「……おばさん、歩くのが遅いよ。……僕の美の巡業が滞るじゃないか」
「……は、……はいっ!! 申し訳ありません、エーミール様!! すぐに……すぐに期待値上げて加速しますからぁぁ!! www」
その時。前方から黄金の鎧に身を包んだ一団が姿を現した。ドラシール竜王国が誇る国家最強の概念審議官を伴う、魔導騎士調査団だ。
「止まれ!! 巷を騒がす不純なる女装の流布者よ!! 我らは女王フジョーシ=ヤオイ陛下が直属、調査団である!!」
騎士たちが一斉に抜剣し、馬車を完全に包囲する。
「……ヒエッ!?じょ、女王直属……!?終わった……私の社畜人生、ここで打ち切りなの……!?」
ローズは恐怖で腰を抜かし、その場にヘナヘナと座り込んだ。
調査団の先頭に立つのは審議官の長・ゼクシオン。彼は女王の教典を丸暗記し、解釈違いの異端を数百人処刑してきた腐の執行官だ。
「……貴様がこの異端の元凶か。……見ろ、この不浄な衣裳を。……男とは鍛え上げられた筋肉と無骨な精神を持って、男同士で高め合うべきもの!! 女装などという混ぜ物は陛下が定めた純血なるBLの法理に反する!!」
ゼクシオンは荷台のドレスを剣先で指し、冷酷に告げた。
「この少年を直ちに解放し、貴様は王都の地下牢で解釈再教育(1日24時間のハードBL鑑賞)の刑に処す。……連れて行け!!」
騎士たちがローズに手をかけようとしたその時。荷台の上で、エーミールがゆっくりと立ち上がった。
「……うるさいなぁ。……おじさんたち。……僕のドレスの邪魔をするの?」
エーミールは、フリルを揺らしながらゼクシオンの前に歩み寄った。その瞳は冷たく、だが宝石のように美しく、女王の騎士たちを取るに足らない羽虫を見るような目で見下ろしている。
「……なっ……!?(動揺)」
精鋭騎士たちの間に戦慄が走った。彼らが今まで見てきた男は、どれも野卑で、強く、あるいは高潔な戦士だった。だが、目の前にいるのはそのどれにも当てはまらない。華奢な指先、レースに彩られた白い肌……。なのに、そこから放たれる支配者としてのオーラは自分たちの女王にも引けを取らないものだった。
「……おじさん。……僕に跪きなさい。……その汚い剣を下ろして、僕のドレスを褒めてよ。……さもないと、……死にたいの?」
エーミールがドレスの裾を摘んでふわりと持ち上げ、ゼクシオンを冷たく睨みつけた。
「…………ッッッ!!!(衝撃)」
その瞬間、審議官ゼクシオンの脳内で千年にわたって積み上げられてきた女王の教義がガラス細工のように粉々に砕け散った。
「……な、なんだ、この感情は……。……筋肉がない。……ヒゲもない。……なのに、……この少年の足元で、泥のように這いつくばりたいという……この圧倒的な敗北感……。……これこそが、……これこそが、……新たな世界の尊さなのか……!? 」
「ぜ、ゼクシオン様!? 何を言っているのですか!! 陛下からは『デリートせよ』と……」
「黙れ!! www 陛下の教義は、もはや古い!! 時代は……時代は、この分からせ女装ショタを頂点とした、新たな食物連鎖を求めているのだぁぁぁ!! 」
ゼクシオンは剣を投げ捨て、その場に跪いた。一人、また一人と、女王の精鋭たちが武器を捨て、エーミールの足元に集まっていく。
「……あぁ、……美しい……。……この女装しているという屈辱を武器にする精神……。……陛下には教えられない、深淵なる性癖だ……!!」
「……何、これ。私、……捕まるんじゃなかったの……?」
ローズは鼻血を流しながら「もっと踏んでください、エーミール様!!」と懇願する調査団の騎士たちを見て、絶望の表情を浮かべた。
「……終わった調査団まで……毒された。www この国、……本当にもう、……おしまいだ……。……私も……馬車、引かなきゃ……!!」
結局、調査団はローズを捕縛するという任務を放棄。あろうことか「エーミール様のドレスが汚れないように」と街道を整備し、ローズと一緒に馬車を押し始めるという、前代未聞の逆スカウト事態へと発展した。
「……おじさんたち、遅いよ。……もっとキビキビ動きなよ」
「「「ハッ!! 喜んでぇぇぇ!! 」」」
国家権力の牙が、なんJ民の放ったバグによってそのまま親衛隊へと書き換えられてしまった。
王都にて。「調査報告が遅すぎる!! 何をしている!!」と、玉座で解釈違いに激怒し続けている女王フジョーシ=ヤオイ。
そして辺境伯の館で、シルフィに「師匠、この騎士たちの服、……もっと透けさせたらどうでしょう?」と提案され、「お前、……天才やなwww」と爆笑しているワイ。
国家規模の解釈戦争は、女王の知らないところで、すでに敗北(汚染)が始まっていた。
「……期待値、もはや宇宙を回って帰ってきたレベルやなwww」
ワイの邪悪な独り言が、館の豪華な夕食のテーブルで響いた。




