規則を守るのも善し悪し
「ねぇ聞いた?図書委員に変わった子がいるんだって!」「知ってるー!」
授業中。しかも、俺が分かんねぇところなのにノンキなもんだよな。先生の声よりデカいんだよ女子の声は。
「諸越くんも知ってる?」
はい裏声キモい。
「知らねぇよ。」
ちょっとクールに決めてみた。が、蜜柑が爆笑して俺を見てる。最悪。
「あははっ!グレープがっ!カッコつけて…っぷー!」
「塔岸さん、諸越くん。放課後までに反省文を提出しなさい。」
はぁー。
俺ってマジついてねぇ。とりあえず、分かんねぇ問題の参考書でも借りるか。まだ笑ってる蜜柑を無視して、俺は教室を出た。
図書室とか、入学してから初めて行く。参考書から問題集、赤本やら虎の巻、何でもあるという図書室はいつも人が多い、らしい。行ってねぇから一城に聞いた話だけど。アイツ話を盛るから嘘っぽいけどな。
途中で、絡まれる女子がいた。
選択肢は3つ。
1謝る
2戦う
3全力で逃げる
「すいません!」
やべ。何で謝ってんだ俺!しかも、男が写真とか持ってるし。ヤバいヤツだろ。
「君、噂の漫才コンビの片割れくん?」
「はぁ。」
無駄に爽やかな少年。
「今度、新聞に載せたいからよろしくな!あ、逃げられた。またな!」
新聞部の男に絡まれてた女の子の格好が、規定通りすぎて職員室の前の制服着たマネキンが動いてるかと思った。
スカートなんて膝下だぜ。
膝下の長さのスカートに、クルブシの白いソックス。真っ黒なミツアミに、全てが全てが!規則通り。
むしろ、珍しくて校則違反に思える。
ガラガラ…
なにはともあれ、図書室に着いた。
シン…。誰もいねぇし!
「あの、2時間目の休み時間は図書室利用できませんので…。」
小さくて細い声が聞こえる方を見ると、さっきのマネキ…、絡まれてた子が本の整理をしていた。
「あ、さっきはありがとうございました。」
「や、逆に何かカッコわりぃとこ見せちまったし。」
「そんなことないです。助かりました。」
ほにゃんと、笑う彼女が何か可愛いく見えた。ほにゃんっつーのはこう、力なく笑うみたいな?いーだろ!表現の自由だろ別に。
「なんか、同じニオイがします。」
「ん?香水一緒?」
「いいえ。なんていうか、波長が合うって感じですかね。急にすいません!」
「いや、嬉しい…し。」
なんか、この子って本の精霊なんじゃねぇかって思えて来た。ダサくしてるけど、スタイル良さげだし。目もすっきりしてて、以外とイケるんじゃね?
ちょうど、授業のチャイムが鳴った。
「良かったら、探してる本とか教えて下さい。」
「俺、文学小説とか読まねぇからさ。オススメとかあったら教えてくれるか?」
初めて会った気がしねぇのは、この子の持つ雰囲気のせいか?
図書室委員の、…やば。名前聞いてねぇし!と知り合った。一番まともかもな。