風紀乱し委員
それは、色々と理由があって人気の無い校舎を一人で歩いている事から始まっていた。のかも知れない。
「金持ってねぇ?」
久しぶりにカツアゲをされた。
「すいません!持ってません。」
とりあえず謝る俺。
どこからか、オペラ座の怪人の曲が流れて来た。
「ザ・ファントム・オブ・オペラ!」
「チッ。風紀委員だ。」
カツアゲ君は、俺の前からいなくなった。
「確か1年A組の、グレープ諸越くんだったかな。はーはっはっは…」
マントを翻すその男は、仮面を被り、正直言ってカツアゲより怖かった。むしろ、変質者だ。しかも、あと3人仮面の男が後ろにいる。
「…はっはっ!諸越くん!君はその髪のせいでカツアゲにあったのだよ!」
《あったのだよー》
「バックコーラスとかいりませんから!てか、俺用があるんで通して下さい!」
「風紀を乱したら、どうなるか思い知れ!」
バサァッ!
マントを美しく翻し、地道に走って行った。
てか、あいつらが一番風紀乱してんじゃん!何だあの衣装つーの?仮面とか、風紀委員が制服着崩してどうすんだよ。着崩すっつーか、うん。アレはオペラ座の怪人だ。俺意味分かんねぇ事考えててるよな。
あー!くだらねぇ!
俺はずっと持ってたあるプリントを握りしめ、立ち止まった。
「今日はやめるか。」
俺の決断は間違っねぇはずだ。人生チャレンジ精神が大事だろ?
けど、俺は理事長室というプレートの前で引き返した。
今はまだ早い。