疑問
よく考えてみれば、色原先輩が澄泉先輩の事を先輩って言ってるのはおかしい。色原先輩は3年なはずだ。
「あー、色原先輩は飛び級やし。知らんかったん?学年に一人は飛び級できるんやで。」
「じゃ、本来なら2年生かよ?」
「せや。頭弱そうやけど全国模試で1位なんやって。」
ウチの学年で飛び級するとしたら、蜜柑か一城くらいだよな。心がちくんとした。
「俺希望出さへんで?蜜柑も嫌言うとったわ。」
「希望用紙出さねぇといけねぇのか。」
「まさか、グレープ出すんか?」
馬鹿にした目されてるし。
「てか、早く教室戻れって。自習がカブったからって、ヤバくねぇか?」
普通に喋ってるようだけど、一城といるにつれて(一城が)キャーキャー言われてても気にならなくなってしまった。
むしろ気になるのは、《うるせぇよ》という男子からの視線。だが、気にしてないのが望月一城という人物なわけで。
「なんやねん。言いたい事あるんやったら、直接言えや。」
ギロンと男子を睨む一城。怯む男子と俺。
「シャーラーップ!望月がうるさいんでしょ!」
「蜜柑には関係ないやろ!」
「望月が教室戻ればいい話じゃん!」
「せやな。」
素直に戻って行く一城。蜜柑に弱いのは知ってる。だけど、クラス違うってダメージ大きいよな。
入学して1週間だってのに、色々な人との出会いが少しずつ運命を変えてる気がする。
「ちょっと言い過ぎたよね。」
蜜柑が、一城の後ろ姿を見つめて言った。
なんだこれ…
こいつら
恋してんのか?
協力なんかしねぇけど、応援しなくなる二人だな。
「望月に30円貸してたんだったぁ!」
…恋じゃねぇか。