サボる為の保健室
保健室のプレートを見つけて、ガラガラとドアを開けた。
「あー、ブドウ君だー!」「髪型ブドウだよねー!」
何だよこの人口密度!ここは食堂か!と言うほど、女生徒がうじゃうじゃしていた。軽く10人はいる。しかも、そいつら(先輩)にもみくちゃにされる俺!
はっきり言って!
幸せです!
何か柔らけー感触とか?髪の甘い匂いとか?たまんねぇんすよ!
「お前ら離してやれ。潰れるって。」
《はーい!》
…なんだこの男前は!いや、イケメンでなく男前なんだよ。こう、和服が似合いそうな、竜マ伝に出てましたか?ってくらいの!
「何しに来た?」
「薔薇の棘を食べてしまったんです!俺、死が近いすか!?」
イケメンでも男前でも、今の俺はマジで必死だった。
キャイキャイと女の花園の保健室の一角に先生と俺。先生が無表情なんですけど。いや、マジヤバいの俺?
先生がゆっくり口を開いた。
「ごめん。俺先生じゃねぇんだ!ほら、白衣借りただけ。」
「はい?」
「てか、下剤飲んどく?解毒剤が良いのかな。」
「あなた何者ですか?」
「ん?生徒会長。」
今ポローンと爆弾発言したよな。
ガラガラ
「澄泉くん、ありがとうね。」
キツそうな保健室の先生来たぁ。
「あ、先生薔薇の棘食った場合どっちが良いすか?」
「そうね、一応解毒剤がいいわ。はい。澄泉くん。」
てか、先生と生徒会長澄泉先輩の距離近っ!
「そこの君が食べたの?」
「はぁ。」
水をもらい、解毒剤を飲みこんだ。
「もしグレたくなったら保健室においでね。」
先生がそんなんで良いのかよ!生徒会長って独特な雰囲気だった。マジ先生かと思ったし。
保健室ってサボるための場所だったか?
「…。んなワケねぇし!」
「紫・庵・くーん!」
この声は、俺に薔薇の棘を食わせた張本人!色原先輩!堀河から聞いてさっき名前知ったし。
「なんすか?」
「薔薇色かき氷いる?」
「まだ寒いから!」
「はいあーん?」
何故かこの人に「あーん」されると、断れねぇ!
「色原、何してんの?」
「す、澄泉先輩!!私はこれで!」
ひょっとして、澄泉先輩は色原先輩避け!?
「また逃げられた。俺嫌われてんのかな。」
「先輩!いつでも付いて行きます!!」
「モテたいのか?別にいいけど。」
俺は、生徒会長といるだけで薔薇を食わなくて済みそうだ!
「授業はでようか。」
意外と厳しい男前だった。