兎の恋
理事長が繰越を操ってた真実を知っても、何も変わらなかった。
「ねぇねぇねぇねぇ!」
繰越も普通に学校に通ってるし。
「紫庵の癖にシカトかよ!」
「白雲君。今日はお兄さんに何を聞きに来たのかな?」
白雲とは、近所のワルガキだ。弟のいない俺にとってみれば、何でも可愛く見えるってヤツで。俺にしては可愛いがってやってる方だ。
「ねぇねぇねぇねぇ!」
「うるせぇな。ねぇねぇ言い過ぎ。」
「うさぎのオスって年中発情期って知ってる?」
「良かったなぁ。」
ヨシヨシと頭を撫でてやると払われた。
「どーせ。俺の事バカにしてんだろ?」
「やっと好きな子できたのか。」
「な、なななな!」
「なるほどねー。ななって子か。」
「はぁ!?何で分かんだ…!違っ、あー!俺、セーブしないで来たんだった!またな紫庵!」
バタバタと俺の部屋から走って出て行く白雲。
青春っていいよなぁ。
…。
って俺も青春真っ盛りだっけな。やっぱ中学生くらいがピークじゃね?俺は、冴えないメガネ男子だったけど、世の中にはオッサレーなメガネ男子も多い。
これって、受験の後とかに多いアレじゃね?
燃えつき症候群。
なんとなくだけど、白雲の『兎の恋』を応援したくなった。
人の不幸は蜜の味って言うじゃん。
人間関係って、意外と面白いかもな。