華麗な薔薇色
目の前にいる色原先輩が、輝いて見える。
「紫庵くんがわざわざ教室まで来てくれるなんて嬉しい!」
改めて知ったけど飛び級獲得した先輩はスゲーんだ。
「紫庵くーん?」
「あ、すいません。俺の勝手な読みでいくと、最後のチャンスに色原先輩が関わってる。なーんて、考えすぎっすよね!」
あははーっとごまかしてしまう俺。
「だったら?」
「せ、んぱい…?」
真面目な顔する先輩はなんか綺麗だった。いつもは可愛い感じなのに、とドキッとさせられた。それは恋とは違って、不意をつかれて膝カックンされた感じ。正にあのガクンって膝が沈んでく感覚。
「だったら、紫庵くんにだけとっくに教えてるよ?…でしょ?」
「ちょ…目潤んでません?え!俺のせい!?ヤバいどうしよ!」
とりあえず、俺は先輩の頭を撫でていた。女の子泣かせるなんてシャレになんねぇし。
「もーろこし!」
「オイオイ。栄芽…今声かけるか普通。」
ギュッと俺に抱きつく色原先輩。ってか、どうなってんだよ。いつ色原先輩抱きついてきた?
「あれれー?飛び級の色原先輩じゃないすか!」
俺に顔を埋める先輩。シカトしてます。
「わりぃ。今ちょっと取り込み中だから、席外してくんね?」
「後悔するぜ?じゃあなん。」
スキップしながら、栄芽は去って行った。
てか、「後悔するぜ」って意味深な発言だぜ。俺、悩ましい発言ばっか聞いてね?
「ばぁ!」
「…なんすか。泣いてねぇじゃん。心配させないで下さいよー。」
ここは、3年の教室横の三階の渡り廊下。気が付けば先輩と2人。
授業始まってんのか?
「紫庵くん、紫庵くんにはやっぱり教えるよ。」
意を決した様に、色原先輩はタテロールを揺らして俺を見上げた。やっぱ可愛いわこの人。
「そういや俺、近道したら怪我するんだった!」
「紫庵くん…。」
「じゃ、また来ます!先輩って可愛いすよね!」
キュッと先輩の手を握って、俺は渡り廊下を後にした。
先輩は白か。
俺は探していた。地道に一人ずつ自分の目で確認してぇんだ。
みんなスキだから信じよう。みんなスキだから、みんなスキだから本当は黒なんて見つけたくねぇけど。
「あー重い。」
ズシリとしたこの気持ちの重みは、すぐに軽くなる。のか?ただ、未来は誰にも予測できない。