俺よりカッコイイ?
「キャー!カッコイイ!」「こっち見てー!」
こんな会話を聞くなんて、ドラマか漫画みてぇ。しかも、言われてるヤツは完全無視してるし。
ってこっち近づいて来た。
「自分A組のグレープちゃう?」
「俺?まぁそんなアダ名が定着してますけど。あんたは?」
「いちよう新入生代表やったんけど、覚えとらん?」
黒髪の見事な無造作ヘアー。アイドルグループにいそうな、てか、男なのに美人。いわゆる女の人みたいな顔してる。とにかく線が細くて身長も高いモデル体型。って褒めすぎ。
「髪型変えた?」
「気付いてくれたん?俺は毎日変えんのや。凄いやろ?」
うーん。自慢気に言われても困るし。
「朝起きた時の髪型をそんまま学校に持ってくるんやで!」
「なんでやねん。」
「ちゃう!もっと勢いが必要や!こう、なんーでやねん!ってスピードを変えんのがコツや!」
キレイな顔が台無しでねーの。でもおもしれぇやつ。
「聞いとん?ええか。まずお笑いに必要なんは」
「ちょっと望月!私のグレープにちょっかい出さないでよ!」
「グレープは今日から俺の相方なんや。せやからな、蜜柑には関係あらへんのや。」
うるさいの増えたし。てか、時間ヤバいんだけど。誰の相方でもねぇし。
「みっ、みかんって呼び捨てしないでよ!寝癖ばか!」
「お笑い目指しとんのに、どもるとかあり得へん。」
今のうちに。
「グレープ!」
「どこ行くんや?」
「学校に決まってんだろーー!」
学年一の秀才アイドルは、関西弁の寝癖男だった。しかも、塔岸と腐れ縁。二人でコンビ組めよ!
「あかん。みかんは無駄にパンツを見せつけてくんのや。」
「見せてないから!」
「あー。よく蹴りを入れられるって事か。」
「漫才どころや無くなるっちゅーの。」
「あんたはしつこい!」
この二人…
「付き合ってんの?」
「ないない。色気がたらんわ。」
「あんたにはデリカシーが足りないの!」
「塔岸にデリカシーなんて言葉あったのかよ。」
「グレープ!シャーラップ!」
やたら、発音の良い英語の後に俺のお気に入りの授業ベルが鳴った。
そして放課後、反省文を書かされた。
「グレープ、コントのネタ書いてみたんだけど。」
「今は反省文書けー!」
「グレープ、漫才のネタ書いたんやけど。」
「なんで、ウチのクラスいんだよ!」
あぁ。あり得ない!集中できねぇ!
しかも、秀才アイドルの望月一城は、書きおえていた!俺と塔岸で遊んでるだけ。迷惑すぎる。
「ほぉーん。キレイな字やん。」
「字にキレイもカッコイイもあるか!」
「ぷっ!グレープがキレてるー。」
「俺に構うなー!ほげー!」
「ホゲって何?」
「ボケと言いたかったんちゃう?」
なんで変なのしか寄って来ねぇのかな。
「髪型ウケ狙いなん?」
「パーマらしいよ。インパクトあるよね!」
俺のオシャレパーマが。俺の思い切ってはたいた金が。
「俺帰る。」
「まだ終わってないでー。逃げるんか?」
「私も終わってないよ。」
「終わったんだよ全部!俺の清く美しい学園生活も!」
マジで泣けて来た。俺、頑張ってきたのに!神なんていねぇよ。キリストの学校に入っても意味ねぇじゃねぇか!
「自分キモいで?」
「グレープ、トイレで泣いてね?」
ガーンっ!突き放されたし!
「終わらす事にしました。」
反省文。
【僕は、校門に入る前までは時間に余裕を持って、登校して来ました。しかし、生徒Aに妨害され、さらに生徒Bが登場して行く手を阻まれました。
神様助けてください!
1ーA 諸越】
「ハハッ!ウケるわー!傑作やな!」
「コントに取り入れようね。」
八つ当たりで書いたのに怒ってねぇし!
秀才君は頭の中が謎すぎて、オレンジの今日のパンツはオレンジ色だった。
てか、マジでスパッツはけよ。