急にはナオセナイ
コンタクトにしてからも、ずれたメガネを押し上げる癖が出る。エアーメガネ押し上げってか!
気が付けば市立図書館に足が向かってる。
そして、無駄に謝る。
ソレが弱く生きてきた俺の癖。まだまだあるけど、キリがねぇ。
飛び級試験の後のゲーセンでも、疑う自分がいた。何を疑うかってのは、ゲーセンに誘った栄芽が学校のマワシモンかも知れねぇ…ってコト。
真面目な俺と、パーマな俺、もとい、チャラけた俺が俺の中で格闘してる。学校の外でサボるのなんて初めてだったりする。
そこまでは、まだ俺の許容範囲だった。
何で、俺のオアシスの春穂ちゃんがいんの?しかも男に囲まれて…ひーふーみーやー、四人に囲まれてっし。純粋なイメージがた落ち。
「春穂じゃん!はーるほ!」
栄芽と繰越が春穂ちゃんに近づく中、俺はクレーンゲーム機の横に隠れていた。
「ちょーど良かった。100円貸して?」
「またかよー。たく。」
栄芽貸すのかよ!しかも、繰越までポケットあさっとるし。いかん、思わず訛ってしまった。
「あ!塾で一緒だった繰越くんだよね!なんか、真面目な格好しちゃってー。ウケるー。」
知り合いかよ!
俺、急に授業受けたく…
「諸越ー!何隠れてんの!」
終わった。俺の初恋(?)。
「いやぁ、このクマ取れそー…なんて。」
目が合った春穂ちゃんは、初めて会った日と違って何か軽い女に見えた。付け睫ヤバい。アイラインつーの?バッチシだし。女って化粧で変わんだなぁ。
「ジロジロ見んてんじゃねーよ。」
「へ?」
間抜けな声が出た。「好きです」は嘘だったのかよ。やべぇ。今の男言葉があの可愛い唇から出たなんて信じらんねぇ。
「てめぇ!春穂を狙ってんのか!?」
なんか金髪男に、胸ぐら掴まれてんですけど。ピアススゲーとか、冷静に男を観察する俺。身長俺のが高いから怖くねぇと言うか。
「ワリィな諸越。こいつまだ中2だからさ。」
苦笑いしながら、栄芽が金髪を俺から離した。
「はるほカラオケ行きたいなー。」
「行こうぜ!」
ぞろぞろとゲーセンから出て行く春穂ちゃんたち。
「騙されてただろ?」
「春穂は好きな人の前だけ猫を被るんだ。」
繰越が「春穂」って言うなんて、仲良いんだな。
あぁ、春穂は
十汰が好きなのか。
彼女がいる十汰に嫌われたくねぇから、略奪はしねぇってか。
ふぅん。恋ってめんどくせぇな。
まだ俺には早い。