試験の裏では
「なぁ蜜柑。」
「あーもう!うるさいなぁ。」
「いや、一回しか言うてへんし。あぁひょっとして生理なん?」
俺は蜜柑に蹴りを入れられた。ピンクのフリフリやった。珍しく女っぽいパンツ履いとる。…蜜柑が乙女なんて気色悪いわ。
「あのさ、グレープ受かるかな。」
「せやなー。どっちでもええんとちゃう?」
今、俺ら授業どころじゃなくてはサボってるんや。どこかは秘密や。
「望月ってすぐ親友って言うわりに、突き放すよね。」
「人をからかうのおもろいやん。」
「面白がってるなら、授業受けてるはずだよね。なんで、第3音楽室にいるの?私だけの場所だったのに!」
場所言うてもうたやん。しかも、なんで最後らへん叫んだんかは謎や。音楽室やから防音。カップルとかピィーしほうだいや。
ちらっと蜜柑を見ると、教卓に座って足をばたつかせてる。またピンクの乙女パンツがチラチラ見えとる。足だけ見たら、イイかもな。
「俺は紫庵が一番のダチやで。引き立て役になるしな。」
「じゃあ、なんで試験受けさせたのよ!」
あかん。今日は蜜柑がシリアスムードやで。どないしよ。
「紫庵の事『ラヴの好き』なん?」
「ふざけないで。…望月に言った私がバカだった。」
だから女は嫌なんや。めんどくさい。
「蜜柑も女んなってもうたんやな。」
「日本語可笑しいって!生まれつき女だから!」
「俺ん事好きにならんといてや。」
「パードン?」
日本語に訳すと、『何だって?もう一度言って?』や。ちなみに英語やで。
「そろそろ終わった頃ちゃう?」
「話そらしたなぁ!」
あ、やっぱこいつ中身男じゃん。
「んや、勘違いやった。ほな行こか!」
できれば紫庵と同じ年で卒業したいんや。
あ。飛び級受かっとったら、1年浪人させればええやん。
やっぱ俺顔も頭も良すぎて困るわ。
「望月ニヤニヤしすぎてキモい。」
「黙れ!女の殻を被った男め!」
二人のやり取りは延々と続いたのだった。