まさかまさかの!
「俺、大阪に住んだことあらへんのや。」
「は?」
「間抜けな顔やなー。傑作や。」
朝会ってすぐ言われたら、こっちも寝ぼけてるし「は?」ってなるに決まってる。
「間抜けで悪かったな。お前はキメすぎてて逆にキモいわ。」
「アイドルやからしゃーないやん?」
あれ。話しズレてる気がする。
「大阪がどったらっつーのは?」
「俺の関西弁は独学やっちゅー話しや。」
「ふーん。で?」
俺は遅刻しない為に競歩した。一城は女の子たちに手を振ってる。俺も振ってみようか?
「…ばかばかしい。」
「俺の最大の秘密なんて、高く売れるんやで。特に新聞部なんかに言うてみ?焼きそばパン1年分は貰えるでぇ。」
俺はやっと靴を履き替えた。
「さっそく売ろうっと。」
「お前マフィアならそっこう死んでるやん。」
「意味分っかんねーし。俺、普通の男子学生だから。」
俺は走って教室に向かった。普段なら一城が付きまとうはずなのについて来なかった。
教室に入って、真っ先に飛び付いてくる蜜柑が今日は席について静かにしていた。
「はよ。」
「…。」
無視かよ!
「蜜柑!朝っぱらからシカトすんな。」
「…裏切りもの。」
冷たく冷酷に言われた。すぐに周りのクラスのヤツらが俺を囲んだ。
「スゲーな!諸越飛び級受けんだって?」「希望の紙提出したんでしょ?」「先輩になるんだな!」
「ちょ、待て。俺まだ出してねぇって。どうなってんだよ。」
俺は昨日入れたはずの机の中をあさった。
「…ねぇ。ねぇよ!」
いや、昨日理事長室の前でユーターンして…。して…?それから見てねぇよ。教室戻らないで帰ったし。てことは、ユーターンする時落としちゃったってパターン?
「はい。皆さん席について下さい。昨日、諸越くんが飛び級の試験にエントリーしました。拍手しましょう!」
パチパチパチ…
蜜柑の視線が痛い。てか、出したの誰だよ!
「ちなみに、理事長がドアの前で拾ったそうですよ。「恥ずかしがりやね」と笑っていらしました。」
「マジかよ。」
「グレープなんて、受かんないわよ。」
蜜柑が怖くなった。てか、一城の朝の変な言動もちっちゃい嫌味なのか?嘘なのかよ!
「試験は、3週間後ですからね。」
内容知らねぇし。仕方ねぇから薔薇色の恋先輩に聞くか。
俺の知らねぇところで運命は動いていた。