表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/145

第8話『昔ながらのナポリタン』父の店の味。



 


「すいません……ナポリタン、ってできますか?」


夜の11時を過ぎた頃、カランと鳴るドアベルとともに入ってきたのは、どこか懐かしい雰囲気の女性だった。白いブラウスに薄手のカーディガン。仕事帰りにしては、どこか寂しそうで、でも柔らかな空気をまとっている。


 


「うん、あるよ。昔ながらの、でいい?」


カウンターの奥、白い割烹着姿の忍さんが優しく微笑んだ。


無口な板前、マサさんはすでに立ち上がり、手慣れた動作で厨房へ向かう。


 


「ケチャップ多めで。あと……ピーマン、入れてください」


女性は恥ずかしそうに笑った。


「父がね、よく作ってくれたんです」


 


しばらくして、湯気とともに運ばれてきたナポリタン。


鉄板の上には、艶やかなスパゲティ。輪切りのピーマン、タマネギ、ハム。焦げ目のついた赤いケチャップの香りがたまらなく食欲を誘う。


 


「……いただきます」


フォークでくるりと巻いて一口。噛むたびに、懐かしさが胸を満たしていく。


甘くて酸っぱくて、ほんの少し苦い。


 


「……やっぱり、こういう味なんですよ。懐かしいなあ……」


彼女はそうつぶやくと、残さず綺麗に平らげた。


 


「父の店、なくなっちゃって。でも……今日、ここに来て良かったです」


そう言って、ぺこりと頭を下げる彼女に、忍さんは小さく笑った。


 


「また食べたくなったら、いつでも来なさい。うちは“メニューにないメニュー”が売りだから」


 


女性が帰ったあと、カウンターにポツンと残った一言メモ。


《ナポリタンって、元気の出る魔法みたいだね。ありがとう》


 


マサさんはそれを拾い、静かにポケットへしまった。


 


今夜も、「深夜食堂しのぶ」には、誰かの思い出と空腹を満たす料理が生まれていた。


 



---


レシピ『昔ながらのナポリタン』


材料(1人分)


スパゲティ(乾)100g


ハムまたはウインナー 2〜3枚(本)


ピーマン 1個


玉ねぎ 1/4個


ケチャップ 大さじ3


サラダ油 適量


塩・こしょう 少々


バター(仕上げ用)5g



作り方


1. スパゲティをやや柔らかめに茹でる(表示+1分が目安)



2. ピーマン、玉ねぎ、ハムを細切りにする



3. フライパンに油をひき、具材を炒める



4. 茹で上がったスパゲティを加え、ケチャップを絡める



5. 塩・こしょうで味を整え、仕上げにバターを落として完成!




ワンポイントアドバイス


茹で置きのスパゲティを使うと、より“喫茶店の味”に近づきます。


ケチャップは焦がさないよう、火加減に注意!






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ