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第79話:カボチャのホクホク煮と、カボチャグラタン



深夜一時をまわった頃、「深夜食堂しのぶ」の暖簾が、ひらりと揺れる。


「……こんばんは」


店に入ってきたのは、細身の女性客。肩に小さな布バッグをかけ、どこか疲れた表情をしている。


「いらっしゃい、ひとり?」


おかみさんの忍さんが、やさしく声をかける。


「うん……なんだか、ホクホクしたものが食べたくてさ。カボチャ、ある?」


カウンター奥で包丁を拭いていたマサさんが、無言でうなずき、冷蔵庫からカボチャを取り出す。


「カボチャの煮物に、グラタンも添えてあげようか?」


忍さんが微笑むと、女性は思わず目を細めた。


「……贅沢すぎるけど、お願い」


***


しばらくすると、ふわりと甘い香りが店内に漂う。


まず運ばれてきたのは、カボチャのホクホク煮。黄金色の煮汁が染み込み、箸を入れるとほろりと崩れる。


「ん……甘くて、優しい……」


思わずこぼれる、ほっとした表情。静かな店に、カボチャを頬張る音が心地よく響く。


そしてもう一品、カボチャグラタン。


ほくほくのカボチャに、ホワイトソースとチーズをかけて焼き上げた熱々のひと皿。


とろけるチーズとカボチャの甘みが、疲れた体にじんわりと染み込む。


「これ……ほんと、癒される……」


マサさんは、ニッと笑って、少しだけ手を振った。


忍さんが言う。


「うちの料理は、誰かに食べてもらって、初めて完成するのよ」


女性はしばらく黙って食べ、ふと顔を上げて言った。


「……明日、ちょっとだけがんばれるかも」


***


レシピとアドバイス


カボチャのホクホク煮


材料:カボチャ1/4個、水200ml、砂糖大さじ1.5、醤油大さじ1、みりん大さじ1


作り方:カボチャを食べやすい大きさに切り、皮を下にして鍋に並べる。調味料を加えて落し蓋をし、中火で約15分。煮汁が少し残る程度で火を止め、味を含ませる。



カボチャグラタン


材料:カボチャ150g、玉ねぎ1/4個、牛乳150ml、小麦粉・バター各大さじ1、塩こしょう、ピザ用チーズ適量


作り方:ホワイトソースを作り、蒸したカボチャと炒めた玉ねぎを混ぜ、耐熱皿に入れる。チーズを乗せてオーブントースターで焼き色がつくまで焼く。



ひとことアドバイス ・煮物のカボチャは“皮を下にして並べる”と型崩れしにくい。 ・ホワイトソースは焦がさずじっくり作ると、カボチャと好相性に。






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