第70話 焼きおにぎり (おさらい)「あらすし、登場人物、世界観」
タイトル
孤独な深夜食堂『何だかんだで、独り飯。』
ジャンル
日常×グルメ×ヒューマンドラマ
---
あらすじ
深夜0時にだけ灯る、小さな食堂。
看板には「しのぶ」とだけ書かれている。
古びたのれんをくぐれば、そこには無口な板前・マサさんと、優しげなおかみさん・忍さんが出迎えてくれる。
定番のメニューもあるが、客たちが注文するのは――なぜか「メニューにない料理」ばかり。
ひとりで食べるには、ちょっと寂しい。でも、誰かと食べるには、ちょっと疲れてる。
そんな人たちが、今日もふらりとやってくる。
料理が温かいのは、火のせいだけじゃない。
「お品書きにはないけれど、リクエストなら、なんとかなるかもしれませんよ?」
---
登場人物設定
マサさん(板前):
無口で無愛想だが、料理の腕は確か。笑うとやたら優しい顔。何も聞かずに、欲しいものを作ってくれる。
忍さん(おかみさん):
ふんわりと優しい女性。客の心に寄り添う言葉と、美味しいお茶を出してくれる。接客担当。
食堂の名前:
深夜食堂しのぶ
場所は路地裏の奥。灯りがぽつりとついている。
---
「焼きおにぎり」
> 雨がしとしと降る真夜中。
ビニール傘の先から滴る水音と、路地裏にぽつりと灯る小さな灯火。
のれんをくぐると、鉄板の匂いがふわっと鼻をくすぐった。
奥の厨房には、無言の板前。
その隣には、湯飲みにお茶をそっと注ぐ女将さんの姿があった。
「いらっしゃい。寒かったでしょう? あったかいの、いかがですか?」
その言葉だけで、泣きたくなった。
「……焼きおにぎりって、できますか?」
「もちろんです。マサさん、お願い」
カチリ、と鉄板に火がつき、ジュッと醤油が焼ける音。
米の香ばしい匂い。表面はパリパリ、中はふっくら。
一口かじると、香ばしさとともに、にじむようなうま味が口の中に広がった。
> ああ、これだ。
誰もいない夜に、誰かが作ってくれる、ただのごはん。
「よかったら、お漬物と味噌汁もどうぞ」
忍さんの声が、ふわりと耳に落ちる。
誰とも話したくなかった夜なのに、なぜか、少しだけ話してもいい気がしていた。
---
焼きおにぎりレシピ&ワンポイントアドバイス
材料(1人前)
ごはん:茶碗1杯
醤油:小さじ1
ごま油またはサラダ油:小さじ1
みりん:少々(好みで)
お好みで刻み海苔、味噌、チーズなども可
作り方
1. ごはんを三角にぎりにする。やや固めがベスト。
2. フライパンに油を引き、弱火でじっくり両面を焼く。
3. 醤油とみりんを合わせて、ハケで塗る(両面)。
4. 焦げ目がついたら完成。
ポイント!
・水分が多いごはんは崩れやすいので、少し冷ましたごはんが◎。
・中に具(鮭、梅など)を入れてアレンジも楽しい!




