表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/154

第65話「鮭のパリパリ焼き」



 


「いらっしゃい。今夜はちょっと涼しいね」


カラン、と戸の音と共に現れたのは、くたびれたスーツ姿の女性客だった。目の下にはクマ、右手にはコンビニ袋。


「……こんばんは。おかみさん、今日も何か作ってくれる?」


 


静かに厨房から顔を出すのは、無口な板前――マサさん。

彼は黙って頷くと、ぬか漬けの並ぶ棚を見やりながら、食材を確認していた。


 


「今日は……なんか、魚が食べたい。できたら、サクッとしたやつ。焼き魚もいいけど……」


「鮭があるよ」


そう答えたのは、優しげなおかみさん、しのぶさんだった。


 


「それなら、パリパリにしてあげようか?」


 



 


やがて、目の前に出されたのは――黄金色に焼きあがった鮭のパリパリ焼き。


 


「……美味しそう」


女性は箸を取り、まず皮の部分をそっと摘まむ。

パリ……という小さな音とともに、香ばしさが口いっぱいに広がる。


 


「うまっ……皮、サクサクしてる……!」


口に広がるのは、程よく脂ののった鮭の旨味と、下味の醤油・酒の風味。片栗粉をまぶしたことで、まるで唐揚げのような外はカリッ、中はふんわり。


 


「ああ……なんか、思い出すなあ。小さい頃、おばあちゃんが鮭の皮だけくれたことあって……変な思い出だけど」


 


忍さんは笑って、湯飲みにそっとお茶を注いだ。


「変な思い出じゃないよ。大事なひと口って、そういうもんでしょ」


 


マサさんは何も言わない。ただ、ご飯をおひつからよそって女性の前に置いた。


 


「……ありがとう。今日、ちょっと仕事がきつくてさ。だから、来たんだ。ここに」


その言葉に、誰も返事はしない。


けれど、湯気と香ばしさが、そのまま彼女の疲れを癒していた。


 



 


本日のレシピ:鮭のパリパリ焼き


材料(1人分)


生鮭の切り身 1切れ


醤油 小さじ1


酒 小さじ1


おろし生姜 少々(お好み)


片栗粉 適量


サラダ油 大さじ1



作り方

① 鮭に軽く塩を振って10分置き、キッチンペーパーで水分を拭き取る。

② 醤油・酒・生姜で下味をつけて5分置く。

③ 片栗粉を薄くまぶし、フライパンで油を熱して中火で両面をこんがり焼く。

④ パリッと音が立つまで焼ききれば完成。


ポイント:

・皮目は最後にしっかり焼くと、パリパリになります。

・仕上げにレモンや七味もおすすめ。


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ