表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/152

第54話「選べる炊き込みご飯」



 


その晩、ひとりの女性客がふらりと戸をくぐった。


白いブラウスにジーンズ。少し疲れた顔で、でもどこか嬉しそうに微笑んでいる。


 


「こんばんはー……今日は、何があるの?」


 


カウンターの奥、火を扱う手を止めずにマサさんが言った。


「……炊き込みご飯。好きなの、選んで」


 


「え? 選べるの?」


 


奥から、おかみの忍さんが茶目っ気たっぷりに笑う。


「海鮮、茸、お肉――どれも、それなりに仕込んであるの。今日は、気分でいいわよ」


 


彼女は悩んだ末に、ぽつりとつぶやいた。


「うーん……じゃあ、茸かな。なんだか“秋”って感じがするし」


 


 


***


 


カウンター越しに漂ってきたのは、出汁と醤油と舞茸の香り。


蓋付きの小鍋から湯気が立ちのぼり、そのままお釜ごとテーブルに置かれる。


 


「炊き立て、気をつけてね」


 


蓋を開けると、湯気の向こうに、ツヤツヤと輝く炊き込みご飯が現れた。


舞茸、しめじ、椎茸に、ほんのり甘い油揚げ。香ばしい焦げ目も食欲をそそる。


 


「……うん、すごくいい匂い」


 


ひと口、口に運ぶと、彼女の頬が緩んだ。


「……なんか、実家思い出すなあ。父さんが山で採ってきた茸で、母がよく炊いてくれたの」


 


マサさんは黙って手を動かしている。


忍さんは、優しく微笑むだけ。


 


「ねえ、また来てもいい?」


 


忍さんが言う。


「もちろん。今度は、海鮮にする?」


 


「……ううん、次は“お肉”にしてみる!」


 


そして、彼女はもうひと口、炊き込みご飯を頬張った。


 


 



---


本日のレシピ:茸の炊き込みご飯(2合分)


米:2合(30分浸水)


舞茸・椎茸・しめじ:あわせて150g程度


油揚げ:1枚(細切り)


醤油:大さじ2


酒:大さじ1


みりん:大さじ1


出汁:適量(炊飯器2合の目盛まで)



▶︎すべての具材を混ぜ、炊飯器で炊くだけ。 ▶︎炊き上がったら、10分蒸らして混ぜる。 ▶︎おこげが欲しい人は土鍋で。


アレンジ提案: ・鶏もも肉を加えて“肉+茸”のW炊き込み

・最後にバターを一片加えて、コクUP

・おにぎりにして焼きおにぎり風にしても◎





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ