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第3話:―塩バター焼きそばと缶チューハイ  



 


深夜0時をまわった頃。

駅から少し離れた、路地裏のさらに奥。

そこには灯りをひとつだけ灯した、小さな店がある。

暖簾には、手書きの文字でこう書かれていた。


 

深夜食堂しのぶ



 


今夜の客は、20代後半くらいのサラリーマン風の男。

ネクタイはゆるめ、顔はやや疲れていて、でもどこか安心したような目をしていた。


 


「……まだやってますか?」


 


暖簾をくぐった男に、奥から小柄な女性の店主が顔を出す。


 


「もちろん。深夜から開くのが、うちの流儀ですから」

「メニューは?」

「基本、冷蔵庫にあるもので。希望があれば、言ってみて」


 


男はふと、笑った。


 


「塩焼きそば、できますか? あと……缶チューハイも」


 


「あるよ。ちょうどキャベツと豚こま、余ってたからね」


 


そう言って、店主は中華鍋を火にかける。

じゅわっと油の音。刻まれるキャベツ。

ほぐされる中華麺、そして――ふんわり漂うバターの香り。


 


「……この匂い、なんか、懐かしいな」


 


「バター入れるの、うちのこだわり。塩焼きそばって、シンプルだけど奥深いのよ」


 


 


やがて目の前に置かれた、あつあつの塩バター焼きそば。

キャベツの甘み、豚の脂、バターの香り、そして胡椒がピリッと効いて――

すっと、疲れた顔が緩んだ。


 


「……美味しいです」


 


「そう言ってもらえれば、作った甲斐があるよ」


 


男はチューハイをひと口。

しゅわっと喉を潤しながら、ぽつりとつぶやいた。


 


「……昨日、何食べたか、思い出せない日があって。

でも、こういう夜があれば、それで十分なんですよね」


 


店主は笑って、ただ「うん」とだけ答えた。


 


 



---


本日のレシピメモ


『塩バター焼きそば』


【材料(1人前)】


中華蒸し麺:1玉


キャベツ:1~2枚(ざく切り)


豚こま肉:50g程度


バター:10g


塩:ひとつまみ


胡椒:適量


ごま油:小さじ1(炒め用)



【作り方】


1. フライパンにごま油を熱し、豚肉を炒める。



2. 肉の色が変わったらキャベツ投入。炒め合わせる。



3. 中華麺をそのまま入れて軽く炒める(ほぐれにくければ水を少し加える)。



4. バターを入れて全体を混ぜながら炒め、塩・胡椒で味を整える。



5. お好みでレモンを絞っても◎




【ひとことアドバイス】

「塩気は控えめに。バターの風味を生かして、胡椒で引き締めるのがコツです」





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― 新着の感想 ―
お疲れ様ゾォ〜コレ!(小並感) チューハイのしゅわっとした音に惹かれてきました(手の震え感)  塩バターの焼きそばとか…オシャレですねぇ!(歓喜感) 内容もすごくそそられるものがありました(じゅるり感…
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