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第16話 馬鈴薯入り焼きそばと、いも串フライ



 


時刻は夜中の1時をまわっていた。


看板の灯りがぽつんと照らす、小さな店――「深夜食堂 しのぶ」。


表通りから少し外れた路地裏に、今日もぽつぽつと人が集まる。


 


暖簾をくぐって入ってきたのは、若い青年。


スーツのボタンを外し、額にはうっすらと汗をにじませている。


 


「……こんばんは。まだ、やってます?」


 


「もちろんよ」

奥から、おかみさん・忍が微笑む。


カウンター内では、いつものようにマサさんが無言で箸を動かしていた。


 


青年は、ちょっと戸惑いながらカウンターに腰を下ろす。


「えっと……注文いいですか?」


 


「メニューにないのでも、言ってみて」


 


「……じゃあ、あの、あれ。焼きそば、なんですけど……」

青年は少し頬をかいて、笑う。


「地元でよく食べてたんです。馬鈴薯入りの焼きそば。わかります?」


 


マサさんが手を止め、ふっと笑ったような気がした。


「……懐かしいね。あれ、俺の田舎でも定番だったよ」


 


「えっ、もしかして……マサさん、同郷ですか?」


青年の顔がぱっと明るくなった。


 


「さぁ、腕が鳴るね」


マサさんがフライパンを取り出し、手際よく油を熱する。


豚肉とキャベツ、玉ねぎ、そして――大きめにカットしした茹でじゃがいも。


 


香ばしくソースがはねる音と、鉄板から立ち昇る湯気。


ソースの甘い匂いに、青年の腹がぐうと鳴った。


 


「はい、馬鈴薯入り焼きそば」


 


皿から湯気が立ち昇る。


ホクホクのじゃがいもに絡むソース、しゃきっとしたキャベツの食感。


 


「……うん、これだ」


箸を持った瞬間、青年の顔から強張りが抜ける。


 


「帰り道、屋台で買って、母ちゃんと食べてたなあ……」


 


「それなら、これもかな?」


マサさんが出したのは、串に刺したいもフライ。


ころもを纏ったじゃがいもにソースがたっぷり。


 


「これも、同郷の証だよ」


青年は思わず笑った。


 


「懐かしすぎて……ちょっと泣きそうです」


 


「泣いていいのよ、ここでは」

忍さんがぽつりと優しく言う。


 


青年は黙って焼きそばをすすり、いも串を頬張った。


なんだか、少しだけ――頑張れる気がした。


 


 



---


今夜のレシピ:馬鈴薯入り焼きそば


【材料(2人前)】

・中華麺(焼きそば用)…2玉

・じゃがいも(男爵系)…中2個

・豚バラ肉…100g

・キャベツ、玉ねぎ…適量

・ウスターソース、醤油、みりん、砂糖…適量

・塩コショウ、サラダ油…少々


【作り方】


1. じゃがいもは皮をむき、レンジで軽く加熱しスライス



2. フライパンで豚肉を炒め、火が通ったら野菜、じゃがいもを入れる



3. 麺を入れ、ソースと調味料を加えて炒める



4. 仕上げに香ばしく焼きつけて完成!




【ひとこと】

・じゃがいもはやわらかめの男爵がベスト。

・ほんの少しのバターを仕上げに加えると、コクが増すが、お好みで。





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