第150話『和風ホットドッグ?』
「ホットドッグって、旨いよなぁ……。暫く食べてねぇけどな。」
いつものカウンター席、常連の初老の男が、ビール片手にぼそりと呟いた。
マサが包丁の手を止める。
「ホットドッグ? いいねぇ。……オレ流でいいなら作ってみっか!」
忍が笑って一言。
「マサさん、また始まったわね。深夜の実験タイム。」
マサは冷蔵庫を開け、ソーセージを手に取る。
「前から思ってたんだけどさ……普通のホットドッグって、ソーセージをボイルするだろ? あれ、旨味が全部出ちまって、うまくねぇんだよ。」
「じゃあ、どうするんです?」と常連。
マサはフライパンを熱しながら、ニヤリ。
「焼くんだよ。パリッとな。噛んだ瞬間に中からジューシーな肉汁が弾ける、あの感じ! あれがホットドッグの“心臓部”だ。」
油が跳ね、香ばしい音が響く。
「パンは軽くトーストして、バターを塗る。ケチャップとマスタードは控えめ。ウチのは大人の味に仕上げるぜ。」
そしてもう一つの鉄板には、ふんわりと黄金色の“だし巻き卵”が。
「もう一品は、和風ホットドッグだ。」
「え? 和風?」と忍が首をかしげる。
「だし巻き卵をそのままドッグパンに挟む。味は白だしベースで少し甘め。仕上げに大葉と削り節をのせて、しょうゆをほんのひと垂らし。」
店内に広がる香りに、常連たちはごくりと唾を飲んだ。
出来上がった2本のホットドッグがカウンターに並ぶ。
「さ、召し上がれ。」
常連がかぶりつくと、
「……う、うまい! パリッときて、中からジュワッと肉汁が……! これはビールに合うな!」
そして、だし巻きドッグも口に入れると、
「おぉ……優しい。朝食みたいな安心感がある。これ、深夜に食べちゃいけないやつだ。」
忍が笑って一言。
「マサさん、次は“和風バーガー”でも作っちゃう?」
「ははっ、それもアリだな。けどまずはこの和風ホットドッグ、メニューに加えとくか!」
深夜食堂しのぶの夜は、パンと卵と香ばしいソーセージの香りに包まれていた――。
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マサ流・ホットドッグ レシピ
ノーマルホットドッグ
ドッグパン … 2本
ソーセージ … 2本(粗挽きタイプ推奨)
ケチャップ … 少々
マスタード … 少々
バター … 少々
① ソーセージはボイルせず、フライパンで焼き目がつくまで中火でじっくり焼く。
② ドッグパンを軽くトーストし、内側にバターを塗る。
③ ソーセージを挟み、ケチャップ・マスタードを好みで。
和風だし巻きドッグ
ドッグパン … 1本
卵 … 3個
白だし … 大さじ1
砂糖 … 小さじ1
大葉 … 1枚
削り節・しょうゆ … 少々
① 卵・白だし・砂糖を混ぜ、ふんわり厚めのだし巻きを作る。
② パンを軽くトーストし、大葉を敷く。
③ だし巻きを丸ごと挟み、削り節をのせてしょうゆを垂らす。




