第147話『秋の恵み、栗と柿』
深夜食堂しのぶに、ひとりの常連が大きな風呂敷を抱えて現れた。
「ほら、今年ももらったんだ。山の栗と、庭でなった柿。立派だろう?」
包みを広げると、ころんと艶やかな栗と、朱色に輝く柿が姿を見せた。
思わずしのぶが目を見開く。
「まぁ、こんなに大きな栗と柿…!すごいわ。」
マサは腕を組み、にやりと笑った。
「ふっ…使わない手はないよな。」
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マサ流 秋の献立
① 栗の炊き込みご飯
栗(皮をむいて渋皮を取ったもの):200g
米:2合
酒:大さじ1
薄口醤油:大さじ1
塩:ひとつまみ
炊飯器に米・調味料・水を入れ、栗を加えて炊くだけ。
アドバイス:「栗は下茹でしてから炊き込むとホクホク感が増す。」
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② 柿の天ぷら
熟しすぎていない柿:1個
天ぷら衣(薄力粉・冷水・卵少々)
揚げ油
柿をくし形に切り、衣を軽くまとわせてサッと揚げる。
アドバイス:「熟れすぎた柿は崩れるから、やや硬めのものがいい。」
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③ 柿と生ハムのサラダ
柿:1個(薄切り)
生ハム:4枚
ルッコラやベビーリーフ:適量
オリーブオイル&レモン汁:少々
甘い柿と塩気のある生ハムを組み合わせる。
アドバイス:「仕上げに黒胡椒をひと振りすると味が締まる。」
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食堂のひとコマ
カウンターに並んだ三品を見て、常連たちがざわめく。
「栗ご飯は定番だけど…柿の天ぷら?サラダ?初めてだぞ!」
しのぶも箸を伸ばして驚きの声を上げる。
「柿がこんなに料理になるなんて…。天ぷらは甘じょっぱくて癖になるわ。」
マサは煙草をくゆらせ、ひとこと。
「食いもんは、使いようと工夫次第で化けるんだ。」
秋の香りが、深夜食堂しのぶをやさしく包み込んでいた。




