第131話:『山葵丼と、静かな客』
夜も更けた頃、
カウンターの端に、年季の入ったリュックを置く男が座った。
ほとんど口を開かず、
ただ「白い飯をください」とだけ言う。
しのぶは少し考えて――
奥から、小さな木箱を出してきた。
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山葵丼 – しのぶ式
材料(1人分)
炊きたてご飯 … 茶碗1杯
生山葵 … 5〜6cm(茎側)
粗びき削り節 … たっぷり
醤油 … 適量
作り方
① 山葵は鮫皮おろしで、直前に優しくすりおろす。
② 茶碗に熱々のご飯を盛る。
③ 山葵をふんわりのせ、その上に削り節を山のように。
④ 醤油をひとまわし――香りが立ったら完成。
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しのぶの一言アドバイス
山葵はおろしてから3〜5分が香りと辛味のピーク。
醤油はかけすぎず、香りを活かす。
削り節は粗びきが良い。細かすぎると山葵の清涼感が消える。
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物語の余韻
男は一口、山葵丼を食べ、少しだけ顔をほころばせた。
> 「……あぁ……やっと、“目が覚めた”気がする」
マサが火の前で聞いていた。
> 「あんた、寝ぼけてたのか?」
男は小さく笑った。
> 「いや……3年くらいな。
でも、この辛さと香りで……やっと今日から、起きられる」
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マサのつぶやき
> 「飯ってのは、腹だけじゃなく、
時々こうやって“心の目”も覚ますもんだな」




