↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/198

【第13話】限定に間に合わなかった夜



深夜1時。

静かに灯る赤提灯の下に、ひとりのサラリーマンが肩を落として入ってきた。


「いらっしゃい」と優しく声をかけるのは、おかみの忍さん。

その奥で、黙々と包丁を動かすのが板前のマサさんだ。


スーツ姿の男は、カウンターの隅に腰を下ろすなり、ため息混じりに言った。


「……月見バーガー、食べたかったなぁ……」


コンビニも、ファストフード店も回ったけど、どこも売り切れだったという。


それを聞いて、忍さんがクスリと笑った。


「そんなに食べたかったんだ?」


「はい。なんか、こう……秋の風物詩って感じで、食べると“季節が来た”って気がして……」


すると、それまで黙っていたマサさんが口を開いた。


「――ハンバーガーじゃないけど、“月見”っぽいの、作りましょうか?」


男は目を丸くする。


「え? できるんですか?」


「できる範囲で、だけどな」とマサさん。


忍さんが笑いながらフォローする。


「ここ、“メニューにない注文”が通る店だから」


 


*


香ばしい匂いが漂いはじめた。

鉄板の上で焼かれているのは、ふっくらと丸く整えた豚の挽肉。

その横で焼き始めた目玉焼きが、ぷっくりと白身を膨らませている。


「お味噌汁つけていい?」と忍さん。

「もちろん」と男が即答した。


そして出されたのは――


・ご飯の上に、照り焼き風味のハンバーグ

・その上に、とろりとした黄身の“月見目玉焼き”

・付け合わせの野菜と、味噌汁とたくあん。


「……あれ? これ、丼じゃなくて……」


「“月見プレート”です」と忍さん。


「これはこれで、最高です……」

男は思わず、箸を止めたまま言った。


一口、口に運ぶ。

甘辛いタレと、ジューシーなハンバーグ、まろやかな卵黄が絡み合い、どこか懐かしい味がした。


「……うまい……これ、売っててもいいくらいです」


「限定でもなんでもないけどね」と忍さんが笑う。


男は、今度は少し笑って、目を細めた。


「ありがとうございます。なんか、満たされました」


「また来てください。限定じゃないけど、ここは毎晩やってますから」


 


その夜、男の“食べたかった気持ち”は、ちゃんと叶ったのだった。


 



---


今夜のレシピ:月見バーグプレート


【材料】(1人分)

・豚ひき肉:150g

・玉ねぎみじん切り:1/4個分

・卵:1個(目玉焼き用)

・塩胡椒:少々

・醤油・みりん・砂糖:各大さじ1(タレ用)

・ご飯・付け合わせ野菜・味噌汁:お好みで


【作り方】


1. ひき肉と玉ねぎを混ぜ、塩胡椒で下味をつけて成形。



2. フライパンで焼き、両面に焼き色がついたらフタをして中まで火を通す。



3. ハンバーグを取り出し、同じフライパンでタレの材料を煮詰め、ハンバーグに絡める。



4. 別のフライパンで目玉焼きを焼く(黄身を崩さず、とろっと仕上げる)



5. ご飯の上にハンバーグ、目玉焼きを乗せ、タレをかけて完成。




【ひとことアドバイス】

甘めのタレにする場合、砂糖多めでも美味しい。

黄身が“満月”に見えるよう、焼き加減を丁寧に。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。