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【第13話】限定に間に合わなかった夜



深夜1時。

静かに灯る赤提灯の下に、ひとりのサラリーマンが肩を落として入ってきた。


「いらっしゃい」と優しく声をかけるのは、おかみの忍さん。

その奥で、黙々と包丁を動かすのが板前のマサさんだ。


スーツ姿の男は、カウンターの隅に腰を下ろすなり、ため息混じりに言った。


「……月見バーガー、食べたかったなぁ……」


コンビニも、ファストフード店も回ったけど、どこも売り切れだったという。


それを聞いて、忍さんがクスリと笑った。


「そんなに食べたかったんだ?」


「はい。なんか、こう……秋の風物詩って感じで、食べると“季節が来た”って気がして……」


すると、それまで黙っていたマサさんが口を開いた。


「――ハンバーガーじゃないけど、“月見”っぽいの、作りましょうか?」


男は目を丸くする。


「え? できるんですか?」


「できる範囲で、だけどな」とマサさん。


忍さんが笑いながらフォローする。


「ここ、“メニューにない注文”が通る店だから」


 



香ばしい匂いが漂いはじめた。

鉄板の上で焼かれているのは、ふっくらと丸く整えた豚の挽肉。

その横で焼き始めた目玉焼きが、ぷっくりと白身を膨らませている。


「お味噌汁つけていい?」と忍さん。

「もちろん」と男が即答した。


そして出されたのは――


・ご飯の上に、照り焼き風味のハンバーグ

・その上に、とろりとした黄身の“月見目玉焼き”

・付け合わせの野菜と、味噌汁とたくあん。


「……あれ? これ、丼じゃなくて……」


「“月見プレート”です」と忍さん。


「これはこれで、最高です……」

男は思わず、箸を止めたまま言った。


一口、口に運ぶ。

甘辛いタレと、ジューシーなハンバーグ、まろやかな卵黄が絡み合い、どこか懐かしい味がした。


「……うまい……これ、売っててもいいくらいです」


「限定でもなんでもないけどね」と忍さんが笑う。


男は、今度は少し笑って、目を細めた。


「ありがとうございます。なんか、満たされました」


「また来てください。限定じゃないけど、ここは毎晩やってますから」


 


その夜、男の“食べたかった気持ち”は、ちゃんと叶ったのだった。


 



---


今夜のレシピ:月見バーグプレート


【材料】(1人分)

・豚ひき肉:150g

・玉ねぎみじん切り:1/4個分

・卵:1個(目玉焼き用)

・塩胡椒:少々

・醤油・みりん・砂糖:各大さじ1(タレ用)

・ご飯・付け合わせ野菜・味噌汁:お好みで


【作り方】


1. ひき肉と玉ねぎを混ぜ、塩胡椒で下味をつけて成形。



2. フライパンで焼き、両面に焼き色がついたらフタをして中まで火を通す。



3. ハンバーグを取り出し、同じフライパンでタレの材料を煮詰め、ハンバーグに絡める。



4. 別のフライパンで目玉焼きを焼く(黄身を崩さず、とろっと仕上げる)



5. ご飯の上にハンバーグ、目玉焼きを乗せ、タレをかけて完成。




【ひとことアドバイス】

甘めのタレにする場合、砂糖多めでも美味しい。

黄身が“満月”に見えるよう、焼き加減を丁寧に。





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