第118話:『焼売、焼くか蒸すか――そして、もうひとつの答え』
焼売――その仕上げ方には、「蒸す」派と「焼く」派が分かれるもの。
さて今宵はその2つの道を、しのぶとマサが語り合います。
「……しのぶ、焼売ってのはな。蒸してなんぼだ」
マサがいつもの調子で言う。
「えー、でもさ。
あたし、カリッと焼いた“焼き焼売”のあの香ばしさ、結構好きなんだけど」
「それは餃子の背中を追ってるだけだろ」
「なんか今、地味にバカにしたでしょ?」
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常連が笑いながら割って入る。
「俺んちは、母ちゃんが蒸し器出すのめんどくさいから、
フライパンで蒸し焼きにしてたなぁ。
焼き目ついてて、でも中はふわっとしてた」
しのぶが、にっこりうなずく。
「つまり、“蒸し焼き”っていう第三の道があるってことね」
マサが少し考えて、口を開いた。
「……それが、いちばん現実的だな」
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焼売、それぞれの正解
蒸す → しっとり、ふっくら。素材の味が際立つ
焼く → 外カリッ、香ばしさと食感重視。ビールに最高
蒸し焼き → 焼き目とジューシーさのバランス。家庭の定番
「つまりマサさん、焼売って、
“どう食べたいか”で仕上げ方が変わるってことよね」
「料理ってのは、正解が一つじゃねぇからな。
“おまえがどの正解を選ぶか”、それだけだ」
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《本日のレシピ》しのぶ流 蒸し焼き焼売(12個分)
材料
豚ひき肉…250g
玉ねぎ…1/2個(みじん切り・軽く炒めて冷ます)
しょうが(すりおろし)…小さじ1
醤油…小さじ2
ごま油…小さじ1
片栗粉…小さじ2
焼売の皮…12枚
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作り方
1. 材料をよく混ぜてタネを作り、皮で包む
2. フライパンにごま油を熱し、焼売を並べて中火で焼く
3. 焼き目がついたら、水を1/4カップほど加え、すぐフタをして5〜6分蒸し焼きに
4. 水気が飛び、底がパリッとしたら完成
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マサの一言アドバイス
> 「肉ダネは、しっかり混ぜて“粘り”を出せ。
皮の中に旨味を閉じ込める“接着剤”になる。
焼くも蒸すも、そこが要だ」




