第102話『鯰バーガー、ある?』
鯰バーガーが食べたい!という客の一言から、店内の空気がピリリと変わる。
---
『鯰バーガー、ある?』
「鯰バーガー、食べられるかな」
その客が言った瞬間、カウンター奥で包丁を研いでいたマサの手が止まった。
しのぶがちらりとこちらを見る。
「鯰?……ないわね」
「……鯰は無いけど、白身魚なら何とかなるかも」
マサが冷蔵庫を開け、しばし黙考。
「……あった。バサだな。ベトナムとかでよく食われてるやつ。鯰科の白身魚だ」
「え、それって……?」
「日本じゃあまり知られてねぇけど、スーパーじゃ“白身魚”として普通に売られてる。味はあっさり、鯰に近い」
「パンは? バンズないでしょ?」
「食パンならある。耳を落として軽くトースト。レタス、きゅうり、玉ねぎ、トマト……あと冷凍庫にレンコンもあったな。ついでにタルタルとチリも効かせて……」
しのぶが少し笑って言う。
「……まさか、“なめパックン”の再現する気?」
「ああ。行方市のご当地バーガーだろ。霞ヶ浦で養殖されたアメリカナマズの“カマ肉”を揚げて、たっぷりの野菜で挟んでな」
「よく知ってるわね……」
「……俺、昔、茨城で釣りやってたからな」
客は驚きつつ、目を輝かせる。
「それ、ぜひお願いします!」
「……んじゃ、“なんちゃって鯰バーガー”、いっちょ上がりだ」
「ん~っ!これだよ!
この感じだよ。懐かしいなぁ!営業で回ってた時に良く玉造の道の駅によってさぁ!
毎回、食べてたのよ。」
「マサさん、ありがとう。」
「深夜食堂しのぶ。に不可能は無い。」マサが呟く。
「そうね。マサさん。」おかみさんが笑う。
---
ご当地バーガー「なめパックン」は実在する名物で、
アメリカナマズの希少部位を使った贅沢な一品。
それを深夜のカウンターで“代用”しながらも心を込めて再現する――
そんな“食”と“想い出”の交差点が、この食堂にはあるのです。
【“なんちゃって鯰バーガー”再現レシピ(家庭版)】
※本家「なめパックン」(霞ヶ浦・行方市ご当地バーガー)の雰囲気を自宅で手軽に再現!
---
材料(2人分)
【パティ用】
バサ(鯰科の白身魚/切り身)…2切れ(約200g)
玉ねぎ…1/4個(みじん切り)
レンコン…小さめ1/4節(みじん切り or 粗めすりおろし)
塩・こしょう…少々
小麦粉…適量
卵…1個(溶き卵)
パン粉…適量
揚げ油…適量
【タルタルソース】
ゆで卵…1個(粗みじん)
玉ねぎ…少量(みじん切り)
ピクルス or らっきょう…適量
マヨネーズ…大さじ2
レモン汁 or 酢…小さじ1
塩・こしょう…少々
【チリソース(お好みで)】
スイートチリソース or 市販のチリソース…適量
【野菜類・サンド用】
食パン(8枚切り)…4枚
レタス…2枚
わさび菜…2枚
きゅうり(スライス)…4〜6枚
トマト(スライス)…2枚
---
作り方
① 白身魚の下ごしらえ
バサは皮を除き、軽く塩こしょうして5分置く→水気を拭く。
玉ねぎとレンコンをみじん切りにして混ぜ、バサにのせて軽く押し込むように成形する。
(バサをフレーク状にして混ぜ、パティ状にするのもOK)
② 衣づけ&揚げる
パティに小麦粉 → 溶き卵 → パン粉の順で衣をつける。
170〜180℃の油で両面こんがり揚げる(約3〜4分)
油を切っておく。
③ ソース作成
タルタルソースの材料を全て混ぜる。冷やすと味がなじんで◎
チリソースは市販でOK。辛さはお好みで。
④ パンを焼く
食パンは耳を落として、軽くトースト。香ばしくするのがポイント。
⑤ 盛り付け/サンド
食パンにタルタルソースを塗る。
レタス → 白身魚パティ → チリソース → トマト → きゅうり → わさび菜を順に乗せ、もう1枚のパンでサンド!
半分にカットして完成!
---
ポイント
本家の「なめパックン」は**“カマ肉”**という胸ビレ周辺の肉を使用。代用として「バサ(パンガシウス)」の切り身が最も近いです。
レンコン入りで食感がアクセントに。
タルタル+チリのWソースで甘さとピリ辛が調和。
バンズの代わりに食パンを使うことで、食堂風の素朴さUP!
本家は、鯰、蓮根、玉ねぎを混ぜてパテにしていねはず(お魚ハンバーグ)みたいな感じですかね。
あくまでも、なんちゃってなので悪しからず。




