第５話 かつての敵対者たちとの再会
エリザベスは、優雅に舞踏会場を歩きながら、かつての敵対者たちの姿を次々と捉えていった。
まず目に入ったのは、色っぽい笑い声を上げるレディ・ヴィクトリア。
かつてエリザベスの親友を装いながら、陰で彼女の評判を貶めていた女性だ。
「レディ・ステラ、素敵なドレスですわ」
ヴィクトリアが近づいてきた。
「ありがとうございます」
エリザベスは微笑み返す。
「あなたのドレスも素晴らしいわ。でも...少し時代遅れかしら？」
ヴィクトリアの表情が一瞬凍りつく。エリザベスは優しく微笑んだまま、その場を去った。
次に現れたのは、ロード・エドガー。エリザベスの家系の企業を狙っていた野心家だ。
「レディ・ステラ、噂の美女はあなたでしたか」
エドガーが近寄ってきた。
「お世辞は嬉しいわ、ロード・エドガー」
エリザベスは答える。
「ところで、最近の投資はいかがですか？」
「え？ ああ、まあ...」
エドガーは動揺を隠せない。
「気をつけてくださいね。市場は予想外の動きをすることがありますから」
エリザベスの言葉に、エドガーの顔が青ざめる。
そして最後に、エリザベスは王太子とソフィアに近づいた。
「陛下、王太子妃」
エリザベスは深々と頭を下げる。
「レディ・ステラ、噂の美女とはあなたのことでしたか」
王太子が言う。
「お褒めいただき光栄です」
エリザベスは答える。
ソフィアが不快そうな表情を浮かべるのを、エリザベスは見逃さなかった。
「あら、王太子妃。その指輪、とても素敵ですわ」
エリザベスは言う。
「でも...呪いの魔法が掛けられているようですね。お気をつけください」
ソフィアの顔から血の気が引く。
エリザベスは優雅に一礼し、その場を去った。
舞踏会場を歩きながら、エリザベスは満足げに微笑んだ。敵対者たちの動揺、恐れ、そして好奇心。全てが彼女の思惑通りだった。
「さあ、次の一手よ」
エリザベスは心の中でつぶやいた。復讐の歯車は、静かに、しかし確実に回り始めていた。
