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第1話 転落のはじまり

華やかな宮廷の舞踏会場に、一陣の冷たい風が吹き抜けた。エリザベス・ヴァン・アストリアは、その瞬間、自分の人生が音を立てて崩れ落ちるのを感じた。


「婚約を解消させていただきます」


王太子の冷ややかな声が、静まり返った広間に響き渡る。エリザベスは、まるで悪夢を見ているかのように、目の前の光景を信じられずにいた。


つい先ほどまで、彼女は王国で最も幸せな女性だった。高貴なアストリア家の一人娘として生まれ、美貌と才気を兼ね備え、そして何より、王太子との婚約者という羨望の的だった。


しかし、その全てが一瞬にして崩れ去った。


「エリザベス、あなたの行いは許されません。王家の名誉を汚す者に、未来の王妃の座はありません」


王太子の隣に立つ、輝くような美しさを持つ少女――かつての親友ソフィアが、冷たい眼差しでエリザベスを見下ろしている。


裏切り、陰謀、そして嘘。全ては周到に仕組まれたものだった。


エリザベスは、自分を取り巻く貴族たちの冷ややかな視線を感じながら、ゆっくりと後ずさりした。かつての友人たち、取り巻きたち、そして自分に憧れていた人々。彼らの目には、もはや軽蔑と興味しか映っていない。


宮殿の大扉が閉まる音と共に、エリザベスの社交界での輝かしい人生も幕を閉じた。



馬車の中、彼女は震える手で涙を拭いながら、心の奥底で静かに誓った。


「必ず...必ず取り返してみせる。この屈辱、百倍千倍にして返してやる」


エリザベスの瞳に、今までにない冷たい光が宿る。優雅な令嬢の仮面の下で、復讐の炎が静かに、そして確実に燃え上がり始めていた。


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