part45
ジル「…しつこい」
巨大花の口がジルに襲いかかります。いつもいつも、
同じ花が街を襲います。振り撒かれた毒も、どんどん進化していきます。
ジル「魔力量が足りない…一撃で落とす火力が必要
なのは分かっているが……以前よりも格段に
耐久力が上がっている。無駄に…時間が
かかる」
ジルは刀を構えるのをやめて、地面にその刃を突き
刺します。その瞬間、ジルと巨大花を取り巻く空気が一変します。全ての魔力の「線」が根こそぎ切られて貼り直されているように、一定の空間が閉じ込められます。それは感覚なだけであって、実際にその鳥籠や「線」がある訳ではありません。
ジル「…別に俺には、特異な才はない……あるのは
ここに存在する魔力全て…雷がどうして一番
扱いやすいか……今ここで見せてやる」
『灯せ、灯せ、我らが魂の刃。
貫くは我、防ぐは我。雷鳴の轟が震撼させ、
世の旨全てを虚としよう』
儀式言語、それがジルの刀に降りかかったと思えば、
血走るような赤い雷が灯ります。それを手に持つと、
ジルの左眼に黄色の炎が灯り、金色に輝く「紋」が
浮き出てきました。それはジルが「恐怖を込めた印」でもありました。
ジル「俺が…斬り伏せることに……意味はないが…ただ
今は…お前という存在に恐怖する。それが…
この国の君主としてやることだ」
『ルエン=アダミニアン』
相手の花の至る所にジルと同じ「紋」が現れます。
「紋」目掛けてジルは刀を振います。その「紋」を
一刀両断する時、花にはまるで雷が落ちたような火傷が残ります。胞子をばら撒くその雌しべは、大量の
雷鳴に恐怖して、避雷針のように雷を集めます。
それが花の魔術回避の唯一の方法でしたが、それが
通じるのはもう昔の話。雷が根まで行き届き、咲き
誇ることは出来なくなりました。
ジル「往生際が…悪い」
花はそれでも諦めきれず、ジルを喰らって養分に
しようとします。ジルは防ぐ様子がありません。
ジル「…今だ、お前ら」
どこからともなく雷の国の衛兵がやってきます。
その眼光は雷そのものです。
衛兵「ジル様!作戦通りに枯葉剤を辺り一面に撒いて
おきました!」
ジル「ご苦労…」
エフィリカ「…図体が大きいだけなのにしぶとすぎま
せんか?とどめさしてきます」
エフィリカは宙に飛び上がり、その斧槍で急襲する
かのように突き刺します。花の中枢、胚珠を貫き、
花は散っていきました。それでもエフィリカは刺すのをやめません。何故なら、主であるジルから許可を
得ていないからです。完全に事切れるまで何度も何度も突き刺します。花びらも一枚、また一枚と地に落ちます。
ジル「エフィリカ…」
エフィリカ「はい」
ジル「……十分だ」
エフィリカ「承知しました」
衛兵「ジル様、帰還ルートは確保済みです!」
ジル「帰るぞ…」
主上に最も忠実な国、雷の国としての戦争は、霹靂のようにまたひと段落したのでした。
ジル(なぜ、こんなにも湧いてくるのだろうか?あの
花と出会ってから早40年。出どころ不明、名称
不明。いつになったら終わるのだろう。進化
していくのは相手も同じらしい。手を打たない
と、いずれ取り返しがつかないことになる。
とりあえず、リリアに相談しにいくか)




