part42
満点の星空が見える丘に私は立っている。見えるものは真っ平な平野だけ。ここからなら何処へでも
行ける。お母様が残していかれた世界を堪能できて
嬉しく思う。この平野にはあの忌々しい奴らの残骸はないもの。現実から遠ざかる必要は私にはないけれど
この景色を見てると頑張ろうと思える。
獣の耳と尾を携えて、レイチェルは月光を浴びて
歩いてきた。急にここに呼び出すだなんてどうしたのかしら。
レイチェル「アンタはいつまでこんなことをやらせる
つもり?もう最初の襲撃から6年は
経ってる。手がつけられないくらい
相手も進化してる。私たち上の連中が
無能って呼ばれても仕方のないことだと
思うんだけど。アンタ、本当にこの世界を
守ろうとする気はあるの?」
貴女にそう言われるだなんて思わなかったわ。
まあでも性格上貴女は放って置けなかったのね。
怒りやすいけれど面倒見がいい子だから、私に言ってくるのは暴論でも何でもないわ。
レイチェル「私を救ったあの時から、私への枷は無く
なったと思ってたのにそんなことは
なかった。アンタらが新しい枷よ。
枷風情が他称された神を縛るのも
可笑しな話だけど。アンタは私に奇跡を
求めないけど、逆に与えることも、
過干渉もなかった。無い物ねだりをして
いい年じゃないけど、バカみたいな精神
でおもちゃで遊ぶアンタからしたら、
いい子で居てくれるだけでいいとか
考えているんでしょうね。私じゃなくて
国を見るのがアンタでしょ?無能は
有能のフリしかできないの?」
私は世界を守る理由がある。そのためなら何でも
できることはやるわ。だからと言って大多数だけに
目を向けるわけにもいかない。小さい数のものたちを
見なければいけない。存在する命の数だけ望みがあるなら、全てを叶える必要がある。それができるので
あればどれだけよかったか。ただただ謝るしか
できない。レイチェル。貴女に聞くわ。貴女は私の
代わりができるの?
レイチェル「は?できるわよ。驕りとかじゃない。
アイツら含めて4人が中心となって、
国を作っていけばいいじゃない。貴女の
ようなトップがいないから、パワー
バランスが壊れるかもしれないけど、
それは民意のもと吊るか吊らないかを
決めればいい。アンタがいなくなっても
大人数で考える機会を設けたらいい」
レイチェルは私を睨んだ。でも手を出そうだとかそう
いうことではなさそう。私を労ってくれたのかもしれない。
レイチェル「リリア、アンタが言ったことは無視
しないけど、絶対にその通りに遂行する
から。アンタがちゃんと言葉行動の責任
を取りなさいよ?」
リリア「もちろんよ、レイチェル。いつも本当に
ありがとう」
リリアはレイチェルとの会話を通して安堵を手に
入れたのか、涙を一粒、また一粒流しました。
月光が宝石であるかのように魅せた涙が、鋭くも
暖かく光っていました。




