part4
ヤマネはお母さんと共に家へ帰ります。
落ち着かない顔をしたお母さんを見て、ヤマネは歌を
歌い始めました。
ヤマネ「通りゃんせ〜♩通りゃんせ〜♩
お母さん、一緒に歌おうよ。
きっと落ち着くよ!」
ヤマネ母「…ヤマネったら、知らない間に
大人になったね。じゃあ歌おっか。
…此処は何処の細道じゃ〜♩」
ヤマネ「天神様の細道じゃ〜♩」
ヤマネ母「チーッと通してくだしゃんせ〜♩」
ヤマネ「御用のない者通しゃせぬ〜♩」
ヤマネ母「この子の7つのお祝いに〜♩
お札を納めに参ります〜♩」
ヤマネ「行きは良い良い帰りは怖い〜♩」
ヤマネ母「怖いながらも〜♩」
ヤマネ「通りゃんせ〜♩通りゃんせ〜♩」
星が輝く空の下、歌いながら歩く親子はようやく家に
着きました。お父さんもいます。お母さんはお父さんに
今日何があったかを全て教えます。お父さんは農業を
営んでおり、朝早くから家を留守にしているため、
ヤマネに何があったのか、全く知らなかったのです。
ヤマネ父「ヤマネは…神様になってるってことかい?」
ヤマネ母「そうよ、あなた。私はヤマネの望む道を
歩んでほしいの。
だからヤマネを神様の世界へ…」
ヤマネ「お母さん。…私行きたくないよ」
ヤマネがまさかの発言をしました。これにはお母さんも
驚いて…
ヤマネ母「神主様のお話を聞いてなかったの?
ヤマネはどの道行かなきゃいけないの」
ヤマネ父「そうだぞ、ヤマネ。それに神様から
御認めになられたんだ。
これほど名誉なことはないぞ」
ヤマネは困惑します。未だかつてお母さん,お父さんに
ここまで圧力を掛けられたことがなかったからです。
同時に、2人はもう今までのように『子供への愛』
ではなく、『子供への期待』しか見せてくれない
冷たい存在になってしまったと気づきました。
ヤマネ「じゃあなんでお母さんは、
私と一緒に歌ってくれたの?」
ヤマネ母「離れてしまうのだから、仕方なくよ。
貴女に癇癪を起こされるのも、そろそろ
嫌になってきてたから本当に丁度よかった」
前言撤回。ただただ自分が邪魔なだけだったようです。
その時、2人に対して何かが切れました。
しかしながら、ヤマネは確かに絶望感の最底辺まで
落ちてしまったのに、こんな奴らから離れることが
できるとなると、すごく嬉しくなってきました。
親子の愛情などなかったと知り、ヤマネは続けます。
ヤマネ「邪魔なら私は今すぐ消えるよ。どう?」
ヤマネ父「もう父さんたちの力なんていらないだろう?
1人で頑張りなさい」
その言葉はさらにヤマネを傷つけました。
しかし相手にその自覚はありません。
なぜならお父さんのその時の顔は、惜別の顔ではなく、
ただの無関心な顔だったからです。




