part24
メアリ「怖がらせるって言っても、どんな怖さなの
かしら。なんかこう、恐喝してくるとか?
治安良くないしね、あの国は」
メアリは重そうな買い物袋を持って歩いていました。
もう片方の手には流行りの『ホット!シュガー!』が
あります。
メアリ「甘っい!飲み物が欲しくなるわね」
店主「そこの嬢ちゃん!すっごく可愛いね!
ウチで飲んでいかないかい?」
メアリ「あ、ごめんなさい。興味ないんで。
そこどいてください。というか退け」
店主「えーめっちゃ冷たいじゃん。いいからさぁ、
ちょっとだけでいいんだよ!それに暑い中で
一緒に飲むと楽しいよ!」
その言葉と同時に店主はメアリの肩に触れます。
同時に、その行動がメアリの逆鱗に触れました。
メアリ「男は私に触らないでくれ」
店主の腕は謎の力で無理矢理引き離されました。
同時に火傷したかのような痛みも感じます。
店主「熱い熱い!き、急に火傷した?アンタ…
何てことしてくれるのよ!」
メアリ「これ以上私の邪魔をするなら民法典に違反
するけどいいの?この国ただでさえ法律
厳しいのにね」
結局店主はそれ以降は絡んで来ず、メアリは『剣士』
探しを続けていました。
メアリ「すごく嫌だけど、あの店主に『剣士』が
どんな姿形をしているのかくらい聞いて
おけばよかったわね。これ1日で終わらない
気がする…丁度ベンチあるしちょっと
休みましょうか。時間は…まだあるわね」
???「おい…そこ邪魔なんだが」
ドスの聞いた低い声でメアリは話しかけられました。
そこには長身でボサボサの髪の男性がタバコを咥えて立っています。メアリは買い物袋を自分の膝に置いて
男性が座れるようにします。
メアリ「あら、貴方がもしかして噂の『剣士』?」
剣士「…………」
メアリ「手もすごくボロボロだし、筋力もいいわね。
相当な時間鍛えてきたのね。私への圧力の
掛け具合からも、そう思えるわね」
剣士「何が言いたい…」
メアリ「単刀直入に言うとね〜」
メアリはベンチから立ち上がって『剣士』に向かって
言う。さながら見下ろしているようにも見える。
メアリ「貴方の強さを見込んで、この国を統括して
欲しいの!頼まれてくれないかしら?」
剣士「…興味ない。他を当たれ」
立ち去ろうとしましたがメアリは諦めません。
メアリ「ちょっと待ってよ!貴方はここを統括する
のにうってつけなの。貴方なら慈悲なく公平
に決めることができるはず。貴方はそういう
ヒトだもの。この国ではそれが必要なの!」
剣士「俺を知った気になっているのか?」
剣士は徐に剣を抜き、メアリへそのよく磨かれた
刀身を向けました。
メアリ「…ヤル気なの?」
剣士「…口を慎め」
メアリ「…貴方がね」
直後、剣士は口を開くことが、できなくなって
いました。
剣士「…………」
メアリ「あまり何とも思っていなさそうね。
貴方にとって喋れなくなることは、大して
重要ではないのかしら。とりあえず能力分野
では私の勝ちなわけだけど、どうするの?」
剣士は躊躇なくメアリに切り掛かります。しかし、
その刃はメアリには当たりません。
メアリ「私には当たらないわよ。それに加えて、
仮に当たったとしても私は切れない。
次は何かしら?」
剣士「……………」
剣士は剣を収めました。
意外にも戦闘は小規模になもので終わりました。
メアリ「いい判断じゃない?私には魔術も対して
効かないからね。…まあ今までの能力対応を
続けてたら普通に負けたかも」
剣士「お前にとって俺との戦いは、その程度なのか?
…俺にはないものがお前にあって、俺はそれに
抗えず、ここまでボロボロになった。
…そこまでして俺を登用したい理由は何だ?」
メアリ「まだ気づかないの?全く鈍感にも程がある…
さっき私は言ったでしょ、能力対応続けたら
私は負けていたって。私にとっては、能力と 魔術は私の拠り所。どっちも魔力が必要
だけど、私の能力は魔力消費が激しすぎる。
当たり前だけど魔力がなくなれば私たち
魔者は生きていけない。結論として貴方の
攻め方は合っていた。偶然かは知らないけど
あの短時間で最適解を見つけていた。
それに、魔力不足を狙ったことはよかった
けれど、貴方はそれができなかった。単純に
実力不足だったのよね。
でもそれは貴方が独学で積み上げたもの。
もっと色々なものを見るために私に着いて
くれば貴方は、貴方は意味のある強さを
手に入れることができる。…どう?私に
着いてきてこの国を治める器にならない?」
剣士はメアリを物珍しい顔で見ています。
自分が培ってきたものを壊した相手が、自分が必要
だとしているというあり得ない事実を突きつけられたことと、敗者である自分に対して選択肢を与える
という甘さが剣士にとっては衝撃的だったからです。
剣士「…国を支配すると、俺はどうなる?」
メアリ「どうなる?まぁまずは貴方自身と私の情報を
共有しなくてはならないから、一旦拠点に
行かないとだし、でも基本的に仕事やるなら
今までと同じ生活をしてもいいわよ」
剣士「…わかった。従おう。お前の考えに乗ろう」
メアリ「…!ありがとう!そういえば名前聞いて
なかったわね。名前はなんて言うの?」
剣士「…ジル、ジル・ワームウッドだ…」
剣士とメアリに少し冷たい風が吹きます。
いつの間にか日も暮れ始めていて、雷の国は暖かくて朧げな炎の光を纏っていました。




