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幕間・ある少年の追憶Ⅱ
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化け物だと、彼らは言った。
お前は醜いと。人の心がないと。血に酔った獣でしかないと。
だから、剣を振るい続けた。
善人は救い、何物も奪わず。己と同じ獣を殺し、必死で人間である振りをした。
何度も。何度も。何度も。――何度も。
安らぎはない。救いなどない。臓腑が腐り果てるほど無為な日々。
だけれど、あの日。夕闇の峠道。燃えるような色の空の下で。
獣は、一人の少女に出会った。
『人殺しなんかじゃない。君は、やさしいひとだよ。』
あの時。獣はきっと人間になれた。初めて、守りたいものができたから。
だけど、彼女はもういない。
遠くへ。
俺の手の届かないところへ、行ってしまった。




