世界の矛盾を暴け
〜惑星シーズ〜
「全く、神様は俺たちのことを雑用係だとでも思ってんのかね。」
「仕方ないユ。神様見習いは神様の言うこと絶対だからユ。」
草原が広がっている場所を若い人間の男と犬が歩いていた。
「世界の矛盾を見つけて破壊せよって、俺のやるべきことなのか。」
「神は、直接世界に関与することが難しいからユ。それはお前もわかってるはずユ。」
「分かってるけどさ、俺じゃなくてもいいだろ。他の誰かにやらせればいいのに。」
「それは、お前の素行が悪いからユ。」
「そこは、嘘でも優秀だから〜っとか、贔屓されてるっとか言って欲しかったな。」
1人と1匹がしばらく歩いていると石レンガの壁がそびえ立っている城塞都市が見えてきた。
「どうやら、人間の棲家はあそこらしいな。」
「早速いくかユ。」
犬が一歩踏み出した途端「馬鹿待て待て。」止められた。
「なぜ止めるユ?」
「俺達はこの世界のことを何も知らないんだぞ。このまま行ってあの門番に不審な奴だと思われて斬られたらどうするんだ。」城塞都市の入口に立っている鉄製剣を携えている屈強な男2人組を指差しながら言った。
「忘れるなよ、今俺は神見習いではなくこの世界の一般的な人間だし、お前も神獣ではなくこの世界の犬ってことを。」
「そうだったユ。じゃ、なんの力も使えないのユ。」
「ああ、神力に似た力を感じるが神力を扱えるまでには似ていない。」
「じゃ、どうするユ?」
入口を見ていると1つの馬車が彼らが隠れている場所に近づいてきた。
「どうするユ?馬車が迫ってきておるユ。」
「うーん、よし。ユーン、」
ユーンと呼ばれた犬は男を見ると青い服の袖を捲り彼は腕を差し出していた。
「噛め。」
「はぁ?何言ってるユ。」
「いいからいいから。早くしろ、来ちまうだろ。」
「う〜、分かったユ。絶対に嫌うなユ。」
ユーンは思いっきり噛んだ。
「うわー!!」
突然の叫び声に馬車に乗車していた人物は「な、なんだ今の声は?」と馬車を止め男の元に来た。
「おい、大丈夫かね。君。」
男の腕は白い骨までもが見えていた。
「痛い痛い痛い。」
「この傷は早々に手当てしないと。早く彼を馬車に。」
乗車していた老人は運転手と共にその男を担ぎ馬車に入れた。馬車はすぐに動き出し、すぐに入口に辿り着いた。
「すみませんが、身分証明を「怪我人を運んでいるんだ。早く早く。」」老人は男の怪我を見せて早々に通すように頼んだ。怪我の具合と老人の勢いに圧倒され門番は通した。これで、男は城塞都市に入ることに成功したのであった。