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97.どーん

 朝と晩ご飯はケイ、マルク、フランの家で食べることは固定化している。そう、家が出来るまで居候中だったマロウの家はフランがリガルに突撃されている最中に出来上がった。と言っても、また一日でヒイが建てたのだ。その日はとても騒がしかった。マルクだけは仕事を休めないという事で、ニカとテレーズが送っていき、それ以外は皆でいろいろ意見を出しながら建てたのだ。


「和風がいい」


 ミハは真っ先に希望を出す。マロウは特に希望が無いようだ。


「特に拘りは無いが・・・」

「うーん。こんなのってこと?」


 今日のヒイのスキルは錬金術、設計、建築、鑑定で挑んだが、ミハの言葉に付け替える。投影、設計、建築、物質化だ。投影のスキルが発動し、両掌からはみ出るくらいの家の映像が立体で浮かぶ。


「凄い。これは分かり易いね」

「お姉ちゃん、アキも見る! トオさんもこっち」

「はい。まあ」


 見たことが無い技術に、ヒイを囲む輪が狭まる。エルディランドゥがミハとトオを抱き上げて、見せてやっている。ヒイは、誰もが見易いように少し大きくする。マロウの演劇の時に使えないかと思って幻惑の他にも様々なスキルを試していたのだ。その一つがこれで、模型のように触れるのは物質化がその役割を果たしている。


「うわ。大きくなったぞ」

「これ、扉とか窓も開くんだね!」

「私も作れるかな?」


 サラナサも興味津々で触って手応えがあることに驚くと、取っ手を摘まんで引っ張ったりしている。フランは自分も作れるかどうか考えつつ見ていて、クロはふんふんと匂いを嗅いでいる。


「こんな技術が・・・」

「マロウさん家はこんな感じでいいですか?」


 唖然としているマロウにヒイが問い掛ける。


「屋外露天にしようよ。池に橋とか鯉とか、鹿威しや水琴窟も置いてー」

「ミハちゃん。将来、マロウさんが結婚した時に困るでしょう?」

「え? 大丈夫でしょ。その時はお姉ちゃんがまた、建て替えればいいんだし。それに、ここに住むとも限らないけど・・・。そっか。持って歩けるようにすれば、折角建てた家も無駄にはならないよね!」


 名案を思い付いたかのように告げるミハの言葉は、もう色々凄すぎてマロウは思考が追い付かない。結婚の話題も出ているが、それ以上に自分の家、本当に自分の家になるのかも分からない建物がどんどん豪華に、謎の設備が付いて行く。


「それも、そうだね」


 簡単なことのように頷くヒイにマロウの家が決定した。決定しただけで、まだ猶予があると思っていた、次の瞬間。

 どーんと家が建っていた。慌てて全員が外に出る。


「は、はは」


 笑いたいのか泣きたいのか、意味のある言葉は出てこない。さっきまで皆で触っていた家が、原寸大で建っていた。

 がっくりと肩を落としたマロウにケイが近付く。家が建つのを見るのは四回目だ。毎回驚くが、あっという間に建つという事も、希望通りに建つ事も知っているため慣れたものだ。


「・・・なるようにしか、ならないぞ」


 さり気無いケイの助言は何時でも的確だ。

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