87.学ぶこと
俺は暇だ。初めてかもしれない、暇だなんてものが自分の身に降りかかってくるとは!今日は朝、食堂に来て仕込みを教えて貰った。明日は仕入れを習う。
本来ならば、混み合う昼時だ。暇だ。
「マルク!来たよ」
お客だと思ったら、エルディランドゥを引き連れたミハだった。
「ミハか」
「うん。私達お店に行ってなかったから。何が食べれるの?」
マルクに説明されたミハは固まった。全く分からない。未知の料理ばかりだったので、エルディランドゥに助けを求める。
「エル。好きなの私の分も一緒に頼んで!」
「ああ、分かった」
エルディランドゥは選ぶことが好きそうなミハが、選択を委ねてくることを不思議に思いながら了承した。
「お待たせしました。どーぞ」
コーリアが給仕をしてくれる。
「成程、肉料理と魚料理の定食風だね」
「ミハはそう表現するのか」
「それぞれ半分にして食べて良い?」
「そうしよう」
そこで漸く、ミハがこちらの料理を知らないことに思い当たったエルディランドゥはそれぞれしっかり半分にする。マルクが料理を習いに来た意図も同時に分かった。
「美味しいね。家でも作ってくれるかな」
「頼んでみるか」
マルクが聞いたら嫌そうな顔をしそうだと笑いあって、完食する。
「ご馳走様。お金はどうやって払うの?」
「テーブルに置いていくんだ」
「へー。全部同じ値段? お釣りは貰えないの?」
「大抵の食堂の値段は一律で、お釣りが必要な時は頼むな」
ミハがふむふむと学んでいく。マルクも厨房から出てきて同じように頷いている。二人ともまだ学ぶことが多そうだと考え、自分もだったとエルディランドゥは微かに笑うとミハと食堂を後にした。
「素敵ー」
「え?あの二人が?」
コーリアが思わず溢した言葉に、マルクが思ってもみないことを聞いたと反応する。
「うん」
「あの二人が・・・。まあ、エルディランドゥは格好いい」
「二人一緒の所がいいんだよ」
マルクは首を捻り、そんなものかと返事をして切り上げた。ミハ達がきっかけとなったのか客がちらほらと入り始めたからだ。




