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84.様々な道具

「マルクさん、明日からよろしくね」

「あ、ああ」

「それで」


 街でお土産を渡して家に帰って来たニカから説明を受けたヒイが、対面に座って神妙に話を聞く姿勢のマルクを前に何やら道具をどんどん出していく。そこに目新しい物を見つけてミハが突撃した。


「何、なにー?あ、サラナサも見た方が良いんじゃない?」

「そうだね。サラナサさんもちょっとこっちへお願い」


 若干の警戒した顔でサラナサが近付いてくる。


「見たらいいの?」

「そう、今日のお守りのように何ができるのか見てみて」

「分かった」

「まずは・・・」

「・・・見えない」


 一つ目からサラナサには厳しかったようで、ヒイが慌てて別の道具を差し出しつつ問い掛ける。


「サラナサさんにはどういう風に見えているの?」

「え?ばって」


 身振りで視界前面に何かが広がっているような動作をするサラナサ。


「んん?お姉ちゃんとサラナサって見えているものが違うの?」

「多分ね。私はこんな感じに見えるの」


 ヒイはミハの問い掛けに紙にさらさらと書きつける。ヒイが見えているのは、道具の名前から始まりどういう風に使うものか、誰が何時作ったか、その他どういう使い方を推奨するか、似た道具、道具の歴史等がずらずら続いている。

 フランが作った卵焼き器を例にとるとこうなる。


道具名:卵焼き器

用途:卵焼きを焼く

作成年月日:ズウゾの鍛冶場が出来た日

作成者:フラン

作成補助:ズウゾ

使用方法:火にかけて熱し、薄く油を敷く。溶いた卵を流し入れ、巻いていく。数回繰り返す

その他使用:通常のフライパンとしても使用可能

類似品:フライパン、鉄鍋等

詳細:ヒイが弁当のためにフランに作成依頼した四角い卵焼きを専用に焼くためのフライパン


「うわ。凄いね」

「うん」


 思わず出たミハの言葉にサラサナも同意する。マルクはもう、なんと言っていいのやらと目を見張るのみだ。


「サラナサさんは卵焼き器だと、どう見える?」

「鉄の鍋、卵焼き、焼く」

「サラナサも充分見えてるね」

「そうだね」

「そう?」


 同じ鑑定の能力でも見えているものが違い過ぎて疑心暗鬼になっているサラナサに、ヒイが続ける。


「これは、何が見える?」

「貝、捕まえる」

「うん。私も貝に見える」

「俺も」

「サラナサさん、大正解!これは『捕まえる貝?』です」

「「・・・」」


 当たって喜ぶサラナサと思わぬ駄洒落に固まるミハとマルク。こんな感じで明日から食堂へ出張修行に行くことになったマルクの安全な職場環境のための装備が増えていった。

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