83.村でお土産
サラナサは警戒していた。一緒に旅行をしたと言っても殆ど交流は無い。
「私達は木工の加工でお世話になっているモックさんがいる村に行きます。モックさんの妹のモーリンさんはサラナサさんとお友達です。マロウさんにはお付き合い戴いちゃいますが、よろしくお願いします。この辺りの地理を学びながら護衛もお願いします」
「畏まった」
道のりは順調だ。順調すぎて、マロウが尋ねてきた。
「何か特別なことをしているだろうか?」
「ええ。安全第一ですから」
「なにをしているか尋ねても?」
「構いませんよ。サラナサさんの勉強を兼ねてもいいですか?」
「無論」
マロウが頷き観察するように口を閉じた。クロは仔狼になってヒイにくっついている。
「わ、私?」
「そう、何か見える?」
「え、えーと。うーん」
「ちょっと、視点を変えてみようか。街道を安全に歩くには何があればいいかな?」
「・・・くつ?」
「うん。いいね。歩くのに自分達は靴、相手には?」
「相手?」
「街道では何が危険?」
「生き物」
「大きな括りはいいね。生き物を追い払ったり、仕留めたりするのは大変だよね」
「あ、近づいてこないように?」
「それで、見てご覧」
「・・・よけ?」
「そう。害のあるものを寄せ付けない道具を持っています」
「ほう」
感心するマロウの声と更によく見ようとするサラナサの前に、ヒイ達は見慣れているお守りを掲げる。
「うわっ。これ、なにか、いっぱい!!」
「見えてきた?」
「色々見えて、まだ見える。これどれだけ付いているの?」
「沢山、付けたからなー」
「覚えきれない程、付けるとは凄腕よ」
「ありがとうございます。少ないよりは多い方がいいでしょう?」
「うー・・・ん」
納得したようなしないようなサラナサと、苦笑を浮かべて言葉を飲み込んだマロウと共に村へ着いた。着くなり、サラナサが走ってモックの家に一直線に向かう。危険はそう無い村だが、ヒイとマロウは小走りで追い掛ける。
「モーリン!!」
「サラナサ! どうしたの? またお仕事?」
「ううん。今日はお土産渡しに来たよ!」
「お土産?」
「そう。旅行行ったら渡すでしょう?」
「聞いたことはあるけど、何処か行ったの?」
「外国!」
「外国!?」
サラナサとモックの楽しそうな話が続き、ヒイもモック達に買ってきたお土産を渡す。恐縮するモック達とまだ話足りない二人を何とか引き離して帰途に着いた。




