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75.開幕

 マロウ主演、志木家演出、「マロウ死す」が開幕される運びとなった。舞台効果、特殊効果はトオとアキが担当だ。マロウは流石の役者ぶりだった。ヒイは念のために幻惑をスキルに付けておいた。

 簡単な脚本を紹介しよう。マロウが命辛々、実家に戻るも刺客に襲われ、力尽きるという筋書きだ。できるだけ分かり易くを、心掛けた。途中観劇でもいいように。何度も演じられないため、仕方がない仕様だ。

 残念なことは観客が限られた少数だったということだけだろう。演じる方が気にしていなければ、なんてことはない。

 本命の旅行は、それはもう楽しんでいた。


「これ、なに?」

「え? ああ。よく見て。何に近い形をしてる?」


 サラナサが真剣に見る先をヒイも観察して、ヒントを出す。


「ひゃっほーう」


 ミハは異世界の和風を見て、我を忘れている。


「ニカさん。あれはお土産にどうでしょう?」

「いいんじゃないかな。商売にできそうかどうか、気になってる?ちょっと話してみようか?」

「いいんですか!!」


 テレーズには甘々のニカが買い物ついでにいちゃついている。

 皆の引率、エルディランドゥは真面目に周囲と家族位置の把握に努めている。

 勿論、ケイはマロウへ怒鳴っていた。


「なんだって、値切らず買うんだよ!こっちは値切るもんなんだろう?」

「そうはいっても、やったことがないからな。別に構うまい」

「金は大事だぞ!マルク、フラン。一緒にやるぞ」

「「はーい」」


 ケイの後に素直に付いて行った二人は、ケイに値引き交渉をしてもらいながら、自分たちの興味の赴くまま進む。


「ケイ、マルク、フラン。離れ過ぎだ。お酒はヒイさんかニカさんに買って貰いなさい」


 すかさず、エルディランドゥから指摘が入り、呼び戻される。


「ミハ、そちらは止めなさい」


 エルディランドゥから言われ、ミハは見るからに怪しい呪いの人形のような物には手を触れずにそっと離れる。


「アキちゃん、それ欲しいの?」

「うん。トオへお土産」


 一緒に来ているがお土産を買いたいアキにヒイはお金を出してやっている。


「愉快、愉快」


 姿形をいつもと変えたマロウは、皆の買い物の様子を飽くなく眺めていた。

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