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72.見られ

 ヒイとクロとケイで家に帰ってみると、マロウはすっかり元気になっていた。


「感謝~す~る~。あ~ぶ~な~い~、と~こ~ろ~だっ~た」

「なあ、その話し方わざとだろ? 化粧も落ちてるし、もう無駄じゃね?」

「なんと」


 端正な顔にわざとらしく驚きの表情を乗せ、マロウがケイに返す。ケイは心底嫌そうだ。化粧が落ち、奇抜な服の替えも無かったのだろう。エルディランドゥの服を借りるとあっという間に美青年だった。


「ケイさん。落ち着いて、一応見つけた時の話も聞きたかったから。最初だけ、いてくれる?」

「ああ。俺が戻ってきたら、あのギルドの側であんまり人が通らない路地に倒れてたところを見つけて、助けを呼びに行くなって引き留めてきたから、その場でできることをした。以上」


 ケイは関わりたくない態度を全開にして、言うだけ言うと足早に立ち去って行った。


「マロウさん。ごめんなさい。ケイさん、警戒心が強い子で」

「気にしてはおりませぬ。私を怪しむのは正しいことです」

「ええっと、ここにいるのは私の下のきょうだいのニカとミハです。クロ君は伴侶?です」


 クロは嬉しそうに尻尾を振っている。その後ろでこそこそとニカとミハが話している。


「ニイちゃん、今、確実に疑問形だったよね」

「本人が嬉しければいいんだよ」

「二人とも、紹介続けるよ。私が知っている情報でご紹介していいですか?」

「はい。その方が安全と思いまする」

「うーん。それは・・・。マロウさん。書き方教室に来て下さって、外国の方みたい。それで率直に言うと、偽名で、厚化粧と怪しい話し方、奇抜な衣装で周りを遠ざけていた方だよ」

「「・・・」」


 思わず、無言になるニカとミハ。それを破る、大きな笑い声が響く。


「はっはっは。これは、愉快。こんなに、はっきりと言われたことはありませぬ。もしや、それ以外にも見えていらっしゃるのか?」

「ええ。私、結構分かっちゃうんです」

「ほう。確か、鑑定ができる商業ギルドの者が冒険者ギルドにも来たと・・・」

「はい。家の子になりました」


 ヒイとマロウの探り合いの会話が続く。


「それは、それは。あなたは、その師になられますか」

「そんな、大層な者じゃないですけど、同じ事は出来ますね」


 マロウは大方自分の事情は察せられているとは思っていたが、ほぼ全て見られていると分かると、暫し沈黙する。

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