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70.細工物

「サラナサさんに細工を作って貰おうと思うんだけど、いつも使っている紙とはちょっと違う紙を作って貰っていい?」

「紙?」

「そう。和紙っていうの。こんなのね」

「ちょっと固くて、ざらざらする」

「これも鑑定してみて」


 ヒイは懐から出した和紙をサラナサに渡して、じっくり見て貰う。


「紙」

「うん。特徴は?」

「水に強いって」

「次は、材料と製法は分かる?」

「うーん。うーん? コウゾってなに?」

「それが何かも見えるかな?」

「え?更に分かるの?」

「多分」

「分かった!植物!へー。植物。木じゃないんだ」

「そうなの。どうやって作るかは難しそうだね。では、作り方を見せるからやってみてね」


 ヒイが準備していた道具一式と下準備した材料を設置して、紙漉きをして見せる。


「このやわやわが紙になるの?」

「乾けばね。さて、サラナサさんもやってみよう!」

「うん」


 何度も繰り返し、サラナサが疲れ切ってしまうまでやると、ミハを呼ぶ。


「ミハちゃん、ちょっと乾燥させてくれない?」

「いいよー。それ!」

「魔法って本当に便利だね」

「魔法使いって感じでしょ?」


 ミハはさっと魔法を使うとエルディランドゥに呼ばれてまた戻っていった。


「はい。サラナサさん。出来上がりだよ」

「魔法、いいなー」

「そうだね。家にいる時はミハちゃんに頼むといいよ。あんまり色々できちゃうと危ないから、もう少し成長したらスキルを考えよう」

「・・・分かった」

「ふふ。サラナサさんならこの紙何に使う?」

「え?えー・・・」


 魔法は暫く使わせてもらえなさそうで少し残念だが切り替えて、サラナサは自分が作った歪な紙の前で悩んで固まった。


「私はこうしようと思って」


 ヒイはそう言って、最初に自分で作った紙を折り紙の要領で風船を作り、またこっそり作っておいた発熱しない電球に被せる。


「わあ。灯り!そっか、透けるんだ」

「それで、この和紙は自分で作るでしょう?模様をいれたり、色をいれたり自由なの」

「色々できるんだ!」

「サラナサさんは色々見て、考えてみて。細工をこのまま続けるなら、最終的にはこの下の灯りの部分も作れるようになって欲しいと思っています」


 サラナサの顔が思わず引きつる。無茶を言う。この家に来てから驚きっぱなしというか、ヒイと対面してからずっと信じられないことばかりが続いて、色々麻痺してきていた。


「ゆっくりでいいぞ。暫く休憩で」


 そろそろ身動きできなくなる頃だろうと見越してやって来たケイが、そっとサラナサの肩を叩き、ヒイに告げる。


「ケイさん。よろしくね」


 流石、この世界のお姉さんは頼りになると頷いているヒイが残った。

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